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2018.08.12   2020.07.11

高齢者の入居拒否問題には行政が積極的に介入すべき!

高齢者の入居拒否問題

日本においては(※世界がどのようになっているのか分かりませんが)「高齢による入居拒否」は少なからず存在します。なぜなのでしょうか。

家賃未収となる可能性

65歳以上になると、収入は年金のみという方が多いと思います。年金のみで裕福な生活は出来ません。各種メディアで年金受給者の方々についての特集など見ていると、ギリギリの生活をされている方が多いように思えます。この年金という限られた収入源しか持たず、さらに決して多いとは言えない収入面が賃貸住宅の大家から見るとデメリットにしかならないのです。賃貸住宅の経営において、空室及び家賃の未収は収入に直結する大問題です。出来る限り避けなければいけません。

事故物件となる可能性

高齢になればなるほど、部屋で亡くなる可能性は高まります。現代の科学では、人間は死を避けることは出来ません。いつかは亡くなるのです。極めて自然な事であると私は考えています。しかし、その亡くなった場所が自ら所有している賃貸物件となると、話は変わってきます。その物件が事故物件として扱われる可能性が生じてしまうのです。

事故物件の明確な定義はありません。通常は殺人や放火などにより死者が出た場合が事故物件として扱われるのですが、場合によっては高齢者の孤独死や病死も事故物件に該当し得るのです。事故物件として扱うのか否かの判断基準は、当事者次第という側面が強いのです。そして、事故物件として扱われてしまうと、入居者を探すのが困難になります。心理的要因が強いですが、誰かが亡くなっていた部屋に住みたいと思う方は少ないのです。入居者を見つけるために、家賃を大幅にディスカウントしなければいけない事もあります。


他にも様々な理由が考えられますが、大きな理由はこの2つでしょう。家賃未収事故物件も大家側から見れば大問題です。そのようなマイナスの可能性を排除したい気持ちは重々分かります。今まではそれでもよかったのかもしれません。しかし、冒頭にも述べましたが、今の日本は超高齢社会です。高齢者の方々を遠ざけていては、ビジネスなど成り立たない時代に突入しています。”高齢者の方々と真剣に向き合っていく“事がビジネスにおいても非常に重要なファクターなのです。

ちょっとここで日本の高齢化についてカンタンに触れていきます。/p>

総務省によると、2016年9月15日現在において、65歳以上の高齢者の人口は3,461万人、総人口に占める割合は27.3%と発表されています。

参照元:総務省「統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)」

ちなみに、超高齢社会とは「65歳以上の人口の割合が全人口の21%以上を占めている社会」と定義されています。つまり、疑いの余地なく”日本=超高齢社会”なのです。さらに、2035年には3人に1人2060年には2.5人に1人が高齢者になると予測されています。

参照元:公益財団法人長寿科学振興財団「日本の超高齢社会の特徴」

既に1,000万戸程度の空き家が生じていると推計されている日本。住宅はごく一部の地域を除けば圧倒的に供給過剰状態です。ただでさえ入居者の奪い合いが生じる状況です。大家側としても、本当は入居者の選り好みなどをしている余裕は無いはずです。しかし「家賃未収及び事故物件化する可能性が低い入居者」を優先的に入居させたいと思う気持ちは当然なのかもしれません。個人にしろ法人にしろ大家業が事業として成り立たなければいけないので。

 

事業の成功及び採算性を重視しなければいけない民間の事業者にこの問題の解決を委ねるのは、あまりにも酷です。 日本の未来を考える余裕のある企業など、ほんの一握りでしょう。自社の未来の事でいっぱいいっぱいになってしまうのは仕方のない事です。責められる理由はありません。

本件に関しては日本の未来の方向性を決めるべき行政が積極的に介入をすべき事案なのではないでしょうか。確かに、「高齢者の居住の安定確保に関する法律(2011年)」が施行されたことによって、サービス付き高齢者向け住宅(※通称「サ高住」)が登場しました。高齢者向けの設備や専門家を常駐させている住宅に関しては、税制優遇や補助金が支給されるようになったのです。施行当初は「これからはサ高住だ!」と言わんばかりに盛り上がった記憶がありますが、実際にはサ高住が次から次へと建てられるような状況にはなりませんでした。地域差はあるかもしれませんが、熊本においては「特定の企業のみがサ高住に取り組んでいる」というのが私のイメージです。

しかし、この法律の対象は高齢者向けに建てられた賃貸住宅であり、一般の賃貸住宅は対象となっていません。この問題を解決する為に必要なのは、一般の賃貸住宅において高齢者がスムーズに入居できる仕組みなのではないでしょうか。

地方自治体によっては、

  • 入居拒否を行わない事業者に対する謝礼の交付
  • 入居者への助成
  • 入居者の債務保証

などの取り組みを独自に行っています。とても有意義な取り組みに思えます。サ高住の建設を促進するよりも、これらの取り組みの方が現状の高齢者入居拒否問題の抜本的な解決に繋がる、と私は考えます。このような取り組みを日本としても後押ししていくべきなのではないでしょうか。

最後までお読み頂きましてありがとうございました。

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