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2017.08.10   2020.06.19

まさかの税率約40%!不動産の短期譲渡には気を付けて!

個人の方が不動産を5年未満の短期(※期間の計算方法は後ほど述べます)で譲渡した場合、税率は約40%です。どう思われますか。普通に高いですよね。税率40%など暴動が起きてもよりレベルです。利益の半分近く持っていかれるわけですから。ちなみにタバコの税率は60%を超えます。上には上がいるものなんですね。

タバコの話は横に置いておいて、なぜ不動産の短期譲渡所得にはこれほどまでに高額な税金が課されるのでしょうか。もちろん、ただの嫌がらせではありません。ちゃんとした理由があるのです。その理由は「転売による利益獲得行為を防止するため」です。後ほどしっかりと説明しますので、まずはサラッと流してください。

不動産バブル期には、土地を次から次へと高値で転がすことによって莫大な利益を得ることが可能でした。昨日買った土地が今日には○○万円高値で売れるという事もあり得た時代です。しかし、そのせいで土地は異常な価格を付け始めました。とても住宅などを建てられる価格ではありません。住宅を建てるなどの実需に対する供給が地価高騰によって寸断されました。この状況を重く見た政府が対応策として制定したのが、この「不動産の短期譲渡所得に対する税率40%」なのです。

1.短期譲渡所得税率40%が制定された歴史的背景

先ほども述べましたが、戦後の不動産バブルは本当に凄まじい時代だったようです。もちろん私はまだ産まれていなかったので実際に経験をしたわけではありませんが、「昨日1,000万円で購入した不動産が今日は2,000万円で売れる」、という驚異的な環境です。その時代に産まれていれば、私でもお金持ちになっていたかもしれません。

「昨日買った不動産が今日は倍」は少し大げさだったかもしれません。しかし不動産を購入し、数か月間保有し、売却すれば間違いなく儲けることが出来た時代です。日本の歴史上もっとも不動産でお金を稼ぎやすかった時代なのかもしれません。もちろん、このような異常な状況は長くは続きませんでしたが…

そのバブル期には、日本国民のほとんど(???)がお金儲けの為に土地を買い漁っていたのです。しかしその状況は一方で、「住宅を建てたい」など本当に土地が欲しい人たちが土地を買えないという事態を引き起こしていたのです。これには政府も困りました。

「住宅の建設などで本当に土地を必要としている人たちが土地を買えるような状況を作るにはどうしたらいいのか」と考えた結果、「不動産の転売に対する税金を高く設定しよう。そうすれば高い税金を支払ってまで転売をしようとするはずがない」という結論に至ったのです。

資本主義経済をより推進しなければいけない戦後の日本において、個人の経済活動の自由を奪うような政策に異論がないわけではないですが、その当時の異常な状況を鑑みれば仕方のない事だったのでしょう。

不動産の価格が上がり続ける!?

実需ではなく投機的な不動産の取引が不動産価格の高騰を引き起こしました。

2.不動産の譲渡所得にかかる税率

不動産の譲渡所得にかかる税率
譲渡所得の種類 所得税 住民税
短期譲渡所得 30% 9%
長期譲渡所得 15% 5%

※平成25年~平成49年までは復興特別所得税2.1%も掛かります

つまり、何度も述べていますが、短期譲渡所得には、

短期譲渡所得の税率
所得税30%+住民税9%=39%(復興特絶所得税を加えた場合には41.1%)
 
短期譲渡所得税率40%は転売防止!?

ちなみに不動産業者の中には転売を事業のメインとしている業者もいます。

上記の税率が掛かってきます。転売防止という大義名分があるといっても、ちょっとお高いですよね。「転売してもいいけど、その時はガッツリ税金払ってね!」という政府の強い圧力を感じます。

もちろん、この税率で構わないのであれば短期で転売しても法律上何も問題はありません。しかし今のご時世、40%の税率を取られても転売で儲かる物件など早々ないでしょう。問題は、この税率を知らずに個人の方が短期売買を行ってしまった時です。税率を知った時の衝撃は計り知れません。卒倒する方もいらっしゃるかもしれません。どう慰めてよいのか見当もつきません。

これこそが「知らぬは罪」というやつです。

3.短期譲渡所得の「短期」とは?

不動産の所有期間が5年以下の場合が「短期」譲渡所得

もう少し説明をします。まず短期なのか長期なのかを判断する際には、売却した日が属する年の「1月1日」を 基準日とします。つまり、不動産を売却した年の1月1日現在で

  • 所有期間が5年以下⇒短期
  • 所有期間が5年超⇒長期

つまり、2010年に購入した不動産は2016年以降に売却をすれば長期となりますが、2015年に売却をしてしまった場合には短期とみなされます。ここは注意をしておかなければいけません。何度も繰り返しますが、実質の所有期間で計算するのではなく、所有期間の終わりの起算日はその年の属する1月1日なのです。

4.譲渡所得の計算方法

売却価格―取得費―譲渡費―特別控除=譲渡所得

1つずつ見ていきましょう。「分かりやすさ」を最優先に考えておりますので、必要最小限の知識のみを書いていきます。ご了承ください。

売却価格
特に問題はありませんので説明を省略します。
取得費
不動産の購入代金や仲介手数料、登記費用などの不動産の取得に必要であった費用の事です。
(※建物の取得費は、経過年数に応じた減価償却費を差し引いた上で計算をする必要があります。)
また取得費が分からない場合には、売却価格×5%を取得費(概算取得費)と見なすことができます。
譲渡費
不動産の売却の為に必要であった費用の事です。
ex.仲介手数料、登記費用、印紙費用、測量費、etc
(※あくまで売却に必要であった費用の事です。不動産の管理に要した費用は含まれません。)
特別控除
3,000万円の特別控除
軽減税率の特例
買い換え特例

となります。ここではそれぞれの費用についての詳述は省略しますが、特別控除に関しては知らないと損をしてしまう可能性があります。別の記事で改めて記事にしたいと思っております。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか。

「この土地売ってください。〇千万円で」と言われ利益が出るからと喜んではいけません。短期の譲渡の場合には40%も税金で持っていかれてしまうのです。半端な利益など 全て税金に消えていきます。 何よりもまず計算してみましょう。減価償却費やら譲渡所得やら何やらかんやらを計算した上で、「ヤバい、儲かっちゃう!」という状況になってから初めて喜びましょう。計算せずにぬか喜びしてしまい後で泣きベソかいても知りませんよ。

まず計算してみましょう。減価償却費やら譲渡所得やら何やらかんやらを計算した上で、「ヤバい、儲かっちゃう!」という状況になってから初めて喜びましょう。「知らぬは罪」です。後で後悔することが無いようにしましょう。

最後までお読み頂きましてありがとうございました。


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