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2017.08.19   2020.07.13

スマートハウスが実現する未来!電力の自給自足と地球温暖化対策

未来の住宅!スマートハウス

スマートハウスを直訳すると「賢い住宅」となります。「住宅に賢いも賢くなもあるはずない」という反論が飛んでくるかと思いますが、残念ながらスマートハウスはメチャクチャ賢いです。何せIT技術を駆使した住宅なのですから。

スマートハウスは「IT技術を駆使して住宅内のエネルギー機器や家電などをネットワーク化しエネルギーの消費量を最適化」してくれるのです。寝ているときも外出しているときも、家電の電源のスイッチのオンオフなどが勝手に行われるのです。私たち人間でもそこまで効率よくエネルギーを利用することは出来ないですよね。

もう少し具体的に言います。スマートハウスの主な機能は下記の3つです。

  • 創エネ
  • 蓄エネ
  • 省エネ

エネルギーを創ってエネルギーを蓄積してエネルギーを節約する機能がスマートハウスにはあるのです。しかも、人の手でこまめに家電の電源スイッチのオンオフをするようなことはありません。自動的です。

つまり、太陽光発電で創られたエネルギーを蓄電池などにためてそのエネルギーを家電や住宅機器に利用する、という一連の流れをIT技術によりコントロールしエネルギーの消費量を最適にマネジメントするのです。このような事がIT技術により手動ではなく自動で行えるようになっています。

確かに、IT技術を駆使した上で上記のような住宅を建設することが可能であるならばそれに越したことはありません。しかし、ここで1つの疑問が生じます。スマートハウスの概念は理解できましたが、それを実現するためのシステムはどのよおなものなのでしょうか。具体的に言えば、住宅機器や家電をどのような仕組みを利用してネットワーク化するのでしょうか。そこで登場するのが「HEMS」です。

HEMSの正式名称は「Home Energy Management System(ホームエネルギーマネジメントシステム)」です。 非常に分かりやす名称だと思いませんか。HEMSは住宅のエネルギーをマネジメントするシステムなのです。スマートハウスには必要不可欠ですね。

参照:Panasonic HP「スマートHEMS「HEMS(ヘムス)とは?」」

このHEMSを導入することによって、エネルギーの「見える化」と「一元管理」を実現することが可能です。つまり、HEMSを導入し家電や住宅機器と繋ぐことによってエネルギーの使用量をモニターで把握することができるようになります。もちろんリアルタイムです。また、HEMS経由で家電などを一元管理することによってエネルギーの自動制御や遠隔操作が可能になります。賢く節電をしてくれるシステムでもあるのです。

HEMSを利用することによってコンセント単位での電力使用量を把握することが可能です。待機電力も把握することが可能です。どの家電がどの程度の電力を消費しているのか、無駄に電力を消費していないか、などをモニター上の数値で確認することによって節電を行うモチベーションが上がります。「エネルギーの自動制御」「節電意識の向上」により結果として省エネが達成されるのです。

耳慣れない言葉が登場したので、一旦ここでおさらいをしましょう。

  • スマートハウス:省エネ住宅
  • HEMS:省エネ住宅を実現するための住宅用システム

では、このHEMSを導入することによって実現されるスマートハウスが我々にもたらしてくれるものは何なのでしょうか。もちろん節電により電気料金が節約されるという点も見逃せません。費用は安いに越したことはありませんから。しかし、スマートハウスがもたらしてくれるものはこれだけではありません。電力の自給自足も可能にしてくれるのです。

1.「電力の自由化」と「スマートハウス」がもたらす電力の自給自足

これまでは九州に住む人は九州電力、東京なら東京電力、大阪なら関西電力というように、地域によってどの電力会社から電力を買うのかが決められていました。各電力会社の独占状態であったのです。そのような独占状態は企業間の競争を促しません。価格というものは競争により低減していきます。このままでは電気料金の抑制は図れない状況でした。

そこで政府は「電気料金の抑制」を目標に掲げ、2000年より電力の自由化をスタートさせました。当初は電力消費量の大きい購入者のみを対象にしました。対象は限定されていましたが、電力を地域の独占企業である「〇〇電力」から購入しなくても良くなったのです。

その後、徐々に対象が拡大され、2016年4月に一般家庭も電力自由化の対象となりました。自由に「電力会社」を選択することが可能になったのです。電力消費量の少ない一般家庭は最後の最後まで対象外でしたが、ある歴史的大災害がキッカケとなり一般家庭も対象となりました。それは2011年3月に発生した「東日本大震災」です。

東日本大震災による地震の揺れと津波により東京電力の「福島第一原子力発電所」で原発事故が起きました。放射能物質の放出を伴った日本における最悪の原発事故です。原子力発電所が事故を起こしたことにより特に東日本で電力が不足しました。電力が不足すれば当然電気料金が高騰します。この状況を踏まえて「日本の電力供給の在り方」が見直されることになり、より安定的な電力の供給が求められるようになりました。そのような経緯を経て電力の自由化が実施されたのです。


現在では電力の自由化はもちろんの事、電力の自給自足が推奨されています。電力の自給自足はCO₂の排出削減に直結します。つまり、住宅内でのエネルギー消費量を最大限減少させ、それでも必要になるエネルギーは太陽光発電で賄う事が出来れば、電力がよりクリーンなものになります。このような電力の自給自足を可能にする住宅を「ZEH(Net Zero Energy House):ゼッチ)」と呼んでいます。ZEHを実現するためには、住宅を高断熱性能化し極力エネルギーを利用しない住宅にする必要もあります。エアコンを使わなくても夏は涼しいし、冬は暖かい住宅というイメージです。

太陽光などのクリーンなエネルギーから創り出される電力により個々人が家庭内で消費する電力を賄う事が出来れば、日本の電力供給の在り方が新たな時代に突入したことになります。原子力発電所が不要になる可能性が高まるのです。確かにエネルギーを創り出すという意味では原子力発電所の功績は否定できません。しかし、東日本大震災により明るみに出ましたが、原子力発電所は非常に危険な存在です。ひとたびトラブルが起きれば、現在の人類の人知では完璧に対処することが不可能なのです。電力の自給自足にメリットはあってもデメリットは想定できません。今まで以上に電力の自給自足が促進されることを願っています。

参照:経済産業省 資源エネルギー庁HP「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について」

2.スマートハウスの登場は必然であった!?

文明や産業が発展し世界中で多種多様なエネルギーが際限なく使用されることによって、地球の温暖化はもたらされました。そして日々ものすごいスピードで進行しています。「気候の変動」「海水温の上昇」など既に目に見える形で影響が出始めています。

このまま地球の温暖化が進行すれば、地球に深刻な影響を及ぼします。人類そのものを滅ぼしかねません。人類が長い年月をかけて築き上げてきた技術が、こともあろうに人類に牙を剝き始めているのです。もちろん、人類もこのような状況を傍観している訳ではありません。状況を打破すべく世界各国で様々な取り組みが行われています。省エネの促進もその1つです。そして一般の住宅レベルでの省エネの取り組みこそがスマートハウスの普及という事になるのです。

実は、日本においては過去にもスマートハウスの普及を目指したことがありました。現在のような「創エネ・蓄エネ・省エネ」を目標に掲げたものではなく、電話回線や初期のインターネット回線(主に有線)を利用して住宅と家電を外部から操作しようというものでした。しかし、いずれもそれぞれのメーカーによって規格がバラバラな上に、それを可能にするためのインフラの整備もおぼつかなかったので普及することはありませんでした。

この時のスマートハウスは現在と違って「ハイテク住宅」というイメージでしょうか。温暖化対策というような大義名分がないため、国としても積極的に取り組まなかったとも言えるのかなと思います。しかし、現在では大義名分があります。これ以上の「地球温暖化」は阻止しなければいけません。自らの技術により悪化させてしまった環境は、自らの技術により取り戻さなければいけないのです。


日本では2030年までに全住宅にHEMSを設置することを目標に掲げています。HEMS設置に対する補助金を出すなど、政策としても本格的に取り組んでいます。理由が無ければ国が補助金が出すことなどありません。国が補助金を出す理由こそが「地球温暖化対策」なのです

前述した通り、地球温暖化の原因であるCO₂の排出削減は世界的な命題となっています。それを実現させるためには住宅の省エネルギー化が欠かせません。「創エネ・蓄エネ・省エネ」を実現するスマートハウスの登場は必然であったのです。

3.スマートハウスの現状

インターネットの無線化及び高速化、太陽光発電やエネファームなどのエネルギー発電装置、蓄電装置の小型化などの技術の進化に伴い、スマートハウスは「ハイテク住宅」から「エネルギーの見える化・一元管理を実現する住宅」へと進化を遂げました。また過去にはバラバラであったスマートハウスを実現するための規格も、現在では「ECHONET(エコーネット)」という標準規格が制定され、各種メーカーがその規格に対応するよう努力をしています。過去の過ちは繰り返さない、という決意表明と私は受け取っています。

スマートハウスの普及率は2013年にはわずか0.2%であったようです。2020年には160万戸、全住宅の3%がスマートハウス化するという予測が出ています。もちろん、「創エネ住宅」「省エネ住宅」「蓄エネ住宅」というように個別に機能を備えた住宅の割合はもっと高いですが、全てを兼ね備えたスマートハウスの割合はまだまだ少ないです。今後もより一層の認知及び補助金などのスマートハウス化促進の起爆剤が必要であることは明白です。

4.スマートハウスの今後の課題

スマートハウスに必要なシステム(HEMS)や機器を導入するイニシャルコストが今後の課題になりそうです。スマートハウスの関連市場自体がまだまだ未成熟であり、標準的な住宅に太陽光発電や家庭用蓄電池、HEMSなどのスマートハウス基本設備を導入すると数百万円はかかってしまいます。政府としてもスマートハウスに必要なシステムや機器の購入に対する補助金制度を準備しています。しかし、補助金を利用しても百万円以上の資金は必要になります。こちらも企業の新規参入を促し競争をさせることによってより一層の低価格化が求められています。

また、例えスマートハウスに必要なシステムや設備を備えていても、高断熱高エネルギー効率化などのスマートハウスの大前提となる住宅の基本性能が悪くては意味がありません。住宅の基本性能及びスマートハウス設備の両方が備わって始めて省エネが実現できZEHが達成されるのです。既存住宅のスマートハウス化はこの点が今後の課題でしょう。

さらに、「エコーネット」というスマートハウス向けの標準規格が制定されたといっても、まだまだスマートハウスに対応した家電の選択肢は少ないままです。この点に関しては時間が解決してくれるのかもしれませんが、各家電メーカーの技術者の皆様に頑張ってもらう必要がありそうです。

5 .まとめ

いかがでしたでしょうか

スマートハウスは人類の技術の進歩により可能となりました。他方、その技術の進歩により地球の温暖化というゆゆしき事態も引き起こされています。地球の温暖化を止めるべく人類の技術を結集する必要があるのです。

電気自動車の普及促進も同様の理由です。これ以上、地球の温暖化を進行させるわけにはいかないのです。それには 人類の使用するエネルギー量より削減する必要がある。その為の手段の1つとしてスマートハウスがあり、電気自動車があるのです。スマートハウスはクリーンは太陽光エネルギーを利用し電力を創ることが可能です。化石燃料を使用しないのでCO₂を排出することがありません。より広範囲に電力の自給自足が促進されれば、地球温暖化への対策だけでなく現在の電力事情を一変させるかもしれません。より生活が豊かになる可能性も秘めているのです。

地球の温暖化によって、私たちの時代に地球が劇的に変化する可能性は低いでしょう。しかし、私たちの孫やひ孫世代には何かが起こるかもしれません。このままでは気温や海水面が上昇するのですから。彼らの世代に負の遺産を受け継がせるわけにはいきません。今の時代に出来ることを少しずつ実行していきましょう。スマートハウスや電気自動車は個人単位で実行できる省エネです。青い地球を青いまま後世に残すために。

最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。


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