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2017.12.25   2020.07.12

「えっ、プレハブで9階建て???」どういうこと?

プレハブ住宅

プレハブと言うと簡易な住宅をイメージしてしまう私にとっては衝撃的なのですが、パナホームさんはプレハブ住宅においてなんと「9階建て」まで可能にしたらしいのです。昔の仮校舎が縦に9つ積み重なるイメージしか湧かない私は不動産業者失格かもしれません。旭化成ホームズさんも8階建てまで可能のようです。

 

 

そもそも私の「プレハブ」という言語の捉え方が間違っていました。

プレハブとは「Pre-Fabrication」(プレファブリケーション)の略称で「事前に製造・組み立てを行う」という意味です。「工業化」という意味もあります。躯体や柱や壁などを事前に工場で加工や組み立てを行い、建築の現場ではそれらを組み上げるのです。決して「」という意味は含まれませんのでご注意ください。

 

 

毎年新築される住宅のうちの15%はこのプレハブ住宅なのだそうです。私は全く知りませんでしたし、正直な話、そこまで多いとは思っていませんでした。私がプレハブ住宅について不勉強ですので、今回はこのプレハブ住宅について私が調べたことを書いていきたいと思います。

目次

1.プレハブ住宅の歴史

日本でのプレハブ住宅の始まりは大和ハウス工業が発表した「ミゼットハウス」でした。戦後のベビーブームにより家族数が増加したことから、既存の住宅では手狭になってしまうという問題が起きていました。その時に一番の犠牲となったのが「子供」。手狭な住宅に子供の部屋などを確保する余裕はありませんでした。

 

 

この問題を解決すべく立ち上がったのが大和ハウス工業。なんとかして子供達に部屋を提供してあげたいという思いから研究の日々が続きました。ミッションは「安く簡単に子供部屋を」。試行錯誤の上出来上がったのが「建築単価が木造と同じ」「10㎡以下なので建築確認不要」「工事は3時間以内」の「ミゼットハウス」。一気に大ブームを巻き起こしました。

 

 

その後、ミゼットハウスは改良を重ねました。消費者からの要望により、トイレや台所、お風呂などの住宅設備が備わるようになり、「離れた子供部屋」から「住宅」へと変貌を遂げたのです。これが現在のプレハブ住宅に繋がっています。

2.プレハブ住宅のメリット

高品質な上に品質が均一

まずはプレハブ住宅で使用される躯体や柱、天井などは徹底した品質管理のもとで生産されます。そうすることによって建材における一定の品質が確保されます。また、職人の技術に左右されやすい木造住宅と異なり組み合わせられた住宅の品質も安定しています。

工期短縮

ほとんどの建材を工場で生産しているので、建築現場での仕事は主に組み上げるだけです。組み上げるだけなので職人の技術に左右されることはありません。一般的な住宅の場合には3ヵ月もあれば完成します(他の工事は除く)。7階建てのプレハブ住宅でも6か月程度あれば完成してしまうそうです(通常であれば1.5年程度は必要)

 

工事費が安い

職人に仕事をお願いするとその職人の技能分の工事単価が高騰しますが、プレハブ住宅においては工場で生産された建材を組み合わせるだけなので職人がそもそも必要ありません。その分の工事費が必要なくなります。また工場で建材を大量生産することにより、1つあたりの建材のコストダウンが図られます。さらに、工期が短い事によって人件費も圧縮できます

 

3.今後のプレハブ住宅の展望

従来のような3階までの低層階住宅の争いではなく、4~10階の中高層住宅での争いが激化するのではないでしょうか。一説によると容積率が400%あれば7階建て、500%あれば9階建てまでは建設することが可能なようです(一定の条件を満たす必要がありますが)。「土地を可能な限り有効利用する」という観点からは理にかなっています。「貸せる面積」を最大限に引き延ばす争いが始まっています。

 

 

このような中高層住宅での戦いが巻き起こる背景は、「国内住宅市場の縮小」が挙げられます。我が国の新規住宅着工戸数は2008年の104万戸を上限として下落し続けています。2017年現在ではおおよそ80万戸まで下落。近い将来、60万戸を割り込むという予測も出ているほどです。今までのやり方が今後は通用しなくなることは目に見えています。

 

 

中高層住宅にはこれと言った大手が存在していません。ゼネコンが請け負うには規模が小さすぎるし、逆に地場の工務店レベルでは手に負えない。この空白地帯こそが今後のプレハブ住宅の主戦場になろうとしているのです。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

 

今後の日本において人口が増加することはまず考えられません。子供1人を大学まで卒業させるとおおよそ2,000万円かかると言われています。日本は既に総中流階級社会ではありません。貧富の差の激しい資本主義国家です。子供1人に2,000万円をかけられる家庭ばかりではないのです。

 

 

つまり「住宅の需要は減少する」し続けるのです。増加することはありません。なのでハウスメーカーは必死になって次の稼ぎ頭を探しています。そこで目を付けたのが、「単身者世帯の賃貸需要」です。今後の日本では単身者世帯が増加すると予測されています。そしてそれに伴って持ち家比率は低下します。戸建てをは売れなくなるが、単身者用の賃貸マンションは需要があるのです。

 

 

「賃貸需要は読みづらい」とよく言われます。しかし、特に都心部においては単身者向けの賃貸マンションの需要があります。主要駅周辺ではまだまだ足りないとも言われています。この中高層住宅バトルの勝者が誰になるのか、今後も注視して見ていきたいと思います。

 

 

最後までお読み頂きましてありがとうございました。


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