以前、賃貸情報サイトのSUUMOさんが「ひとり暮らしで欲しいサービス」のアンケットを行ったところ、堂々の1位が「食事の提供」でした。1人しかいないと作るのが面倒だし、栄養が偏るので誰かに管理してもらいたいというのが選出理由です。すごくよく分かります。1人だとコンビニのお弁当を買ったりラーメンを食べに行った方が食事が簡単に済みます。1人分のご飯を作る労力と、それによって得られるリターンは釣り合いません。ささっと食べられるものを食べるの事が最も効率的な方法です。
しかし、もし誰かの手作りご飯が食べられるのであればそれに越したことはありません。そこで登場したのが「食事付き賃貸マンション」。主に朝夕の食事を提供してくれるサービスが付いています。当然別料金が発生しますが、どこでご飯を食べたって食事代は必要です。私が1人暮らしであれば間違いなく「食事付き」の賃貸マンションを優先的に探します。だってどう考えても便利でしょう。
目次
1.単身者世帯は今後ますます増加する
食事付き賃貸マンションのメインとなる利用者は「単身者世帯」です。単身者世帯とは、ようは「1人で住んでいる」世帯の事です。大学生や働き始めて間もない方に多いのではないでしょうか。
全国の総世帯数はおおよそ5,000万世帯と言われています。非常に多いですよね。そしてその中の約1,350万世帯が「単身者世帯」となっています。割合にすると約27%です。ワンルームの賃貸アパートがバンバン建築される理由がやっと分かりました。皆さん、この1,350万世帯を狙っていたのですね。
しかも、ここ15年で単身者世帯数は約250万世帯も増加しました。増加率も半端ではありません。反対に3世帯同居(親、子、孫)の数は減少傾向です。確かに最近では同居という言葉をあまり聞かないですよね。色々な要因が考えられると思いますが、一番の要因はライフスタイルの変化でしょう。「結婚がすべてではない、自分らしく生きていく」という考え方が広まってきた結果だと思います。引き続き単身者世帯は増加傾向が続きますので、食事付き賃貸マンションの需要はタダ上がりです。
2.食事の提供により圧倒的な差別化が図れる
栄養士さんが栄養のバランスを考えながら作ってくれた食事を毎日食べられるなんて素晴らし事だと思いませんか。実家のお母さんや一緒に住んでいる奥様でも栄養のバランスを考えた食事を作ることは非常に難しいでしょう。「普段は自炊をするけれど、今日はちょっと疲れてるから…。」という時にも、前もって言っておけば食事を準備してもらえる事がほとんどです。帰ったら食事が準備されていることの素晴らしさ、1人暮らしを経験すれば分かって頂けると思います。
今ある賃貸マンションは立地の違いこそあれ、ハード面での差異はほとんどありません。「ネット使えます。オートロックです。浴室乾燥ついてます」という人気の設備はだいたいの賃貸マンションが備えているでしょう。そうなると立地と築年数で人気物件か不人気物件かが決まってしまいます。建物はいずれ古くなります。立地は非常に重要な要素ですが、立地だけで勝負が決まってしまうのも悲しいですよね。
なのでこれからはソフト面での差別化を図り他の賃貸マンションよりも優位に立ちましょう。「食事も提供することが出来ますよ!」の1文があればお客様の目を引くこと間違いなし。賃貸物件は空室が30%をゆうに超える異常事態です。その中で勝ち抜くためには、他にはない特徴を全面的に押し出す必要があるのです。「食事付き」はまさに他には無い特徴です。
食事が提供される賃貸マンションとされない賃貸マンション、あなたはどちらに住みたいですか?
3.スペースがない場合にはセントラルキッチン方式でもOK
分かります。建物内で作られた出来立ての食事が食べたいことは。出来立ての食事に勝るものはありません。建物内で食事を作りアツアツのまま提供してもらえたらこの上ない喜びです。しかし、新たに建築する建物であればキッチンスペースを設けて設計することが可能ですが、既存の建物に追加でキッチンスペースを設けることは困難を極めます。火を利用することになりますので、大変な作業です。
では、既存の建物に食事付きを求めることは不可能なのでしょうか。そんなことはありません。近隣の他の場所で食事を作りそれを配達すれば良いのです。それだと宅配と変わらないと思われるかもしれませんが、入居者へのサービスとしての特徴を持たせればよいのです。1食300円であるとか、朝食も可能だとか。朝から「ご飯にお味噌汁に焼きじゃけに玉子焼きに漬物」が食べられたら1日頑張れると思いませんか。
他の場所で作った食事を提供するセントラルキッチン方式なら、スペースを問わず食事を提供することが可能です。個人単位での宅配になってしまうとどうしても配達料が高くなってしまいますが、建物単位での宅配であれば配達料は限りなく薄められるはずです。学校の給食みたいに鍋に入れた状態で運んで、建物内で取り分けても良いですしね。既存の建物の場合にはこのようなセントラルキッチン方式を検討する必要があります。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
単身者世帯の増加が食事付き賃貸マンションの需要を後押ししますし、まだまだ未発展な分野です。「食事付き」をソフト面として充実させれば、他の賃貸マンションと一線を画すことも可能でしょう。
食事の提供方法も、内部での調理の他にセントラルキッチン方式も十分に検討できます。既に賃貸マンションを所有されており、学生の需要がある場所であれば検討の余地は大です。空室の改善にも繋がるかもしれません。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。