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2018.06.25  

「東京にあるAグレードオフィスの空室率上昇」←その行き着く先は?

オフィスビル

Aグレードオフィス」という言葉から説明します。

まず、Aグレードオフィスというものが法律で決められている訳ではありません。不動産業界の実務上及び便宜上、ある一定基準を満たしているオフィスをAグレードオフィスと呼んでいるだけです。「○○ファンドはAグレードオフィスにしか投資をしない」などのように使われます。物件そのものの優劣というよりは、物件の規模に着眼した分け方である、というのが私の認識です。

ではその基準とは何か。この点が非常にややこしいのですが、各社によって異なっています。法律などによって定義されている訳では無いので、使う人によって細かいニュアンスは異なってしまうのです。例えば、対象エリアに関して言えば、

都心3区(千代田区、中央区、港区)、都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)、東京23区内

ご覧の通り、バラバラです。都心3区と都心5区だけならまだしも、東京23区って…Aグレードオフィスの対象エリアを”都心3区”と思っている人と”東京23区”と思っている人が話したら、タイヘンな事になりそうですね。

延床面積に関しても、

10,000坪以上、5,000㎡以上

大きさの単位すら異なっています。どうなんですかね、これ。Aグレードオフィスという言葉自体、破たんしているように見えるのは私だけでしょうか。


今回はAグレードオフィスに関する記事ではありませんので、この辺りで止めておきます。これ以上お話しすると、ただの愚痴になりかねませんので。

そんな各社によって定義の異なるAグレードオフィスの空室率がここ最近増加傾向にあるようですつまり、東京の1等地にある立派なオフィスビルに空室が生まれ始めているという事なのですが、皆さん、どのように思いますか。しつこいようですが、各社のAグレードオフィスの定義が異なるので、会社によっては「Aグレードオフィスの空室率が低下傾向にある」というレポートもあるかもしれません。ですので、あくまで1つの考え方として読んでいただければ助かります。

不動産バブル崩壊の前兆か?」と思われるでしょうか。それとも「日本経済の景気が低迷し始めたのか?」と思われるでしょうか。色々なご意見があると思いますが、私はこう思います。

「当たり前でしょっ!」

って。

オフィスビルとして新たに供給される1年間の総面積ってどの程度かご存知ですか。毎年10万坪以上の面積がオフィスビルとして新たに供給されているのです。ちなみに、少ない年で10万坪強であり、実際には15万坪以上供給されている年の方が多いです。2018年以降は、毎年20万坪前後に供給量が増えるとか。ここまでの内容で私が言いたいことは大体お分かりいただけると思いますが、

そもそも作り過ぎなんですよ、オフィスビルを!

2018年5月現在で、Aグレードオフィスビルの空室率が上昇し始めました。つまり、オフィスの需要と供給が逆転し始めたのです。

空室率の低下⇒需要>供給

空室率の上昇⇒需要<供給

というのが私の理解です。私の理解に従えば、既に供給が需要を超過し始めています。にも関わらず、2018年以降はオフィスビルの新規供給面積が激増します。どうなるんですかね、コレ。東京オリンピックって、これらの新規供給オフィスビルを埋めてしまう程の経済効果があるのでしょうか。私にはそうは思えません。

このような状況の行き着く先はなんでしょうか。私は、テナント争奪戦が始まると考えています。新たなオフィス需要を取り込んでいくには限界があります。ならば、他のオフィスビルに入居しているテナントさんに移転を促すしかありません。「既存ビルよりも好立地」「最新のオフィス設備を備えている」などの謳い文句を掲げて移転交渉を行うでしょう。でもちょっと弱いですよね。だってオフィスビルの移転はどう考えても面倒くさいじゃないですか。様々な手続きが必要ですし、名刺などの様々なものを変更しなければいけません。それでもオフィスを移転したいと思える理由、それは、

家賃の減額

が最たるものなのではないでしょうか。固定費の削減は企業経営にとっては極めて重要です。家賃の減額は固定費削減に対して効果バツグンです。削減した分を人件費に充当することも出来ますし、新たな投資に回すことも出来ます。固定費を出来る限り抑えることは、経営者の腕の見せ所なのです。

ちょっと回りくどい物言いになってしまいました。私が皆さんに伝えたいことは、

このままオフィスビルの新規供給が続けば、いずれ家賃の価格競争が起こりかねない

という事です。不動産業界って価格競争がなかなか起こりづらい業界なんですよね。私も長い間不動産業界にいますが、価格競争など聞いたことがありません。ここ最近になって、賃貸仲介の分野において「仲介手数料無料」と掲げて価格競争を仕掛ける企業が出てきました。それまでは、本当に無縁中の無縁でした。「衣・食・住」の「衣」「食」では価格競争が巻き起こっているのに、「住」ではほぼ0。どちらが異常な状況であるのかは皆さんの判断にお任せします。

「衣・食」における価格競争では、超巨大企業が誕生しました、しかし、その陰で本当に多数の企業が市場からの撤退を余儀なくされたのです。では、もし現在のようなオフィスビル市況が継続し、「住」にも価格競争が起こり始めたら…何が起こるのか考えたくもありませんね。。。

最後までお読み頂きましてありがとうございました。

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