東京の下町に私の実家があります。大通りからは一本奥に入っている下町ならではの住宅密集地にあります。路線価を調べると約80万円/坪なので、実際の取引価格は100万円/坪程度になるでしょう。そんな実家の隣に突如10坪程度の空き地が出来ました。建物があった時はもう少し大きく見えたのですが、実際には10坪しかありませんでした。
なぜ10坪程度しかないという事を知っているのかと言えば、ある不動産屋さんがその土地を実家に売りに来たからです。私の実父も価格次第では購入する気だったようですが、残念ながら諦めました。なぜなら、
200万円/坪という〇ッタクリ価格だった
からです。100万円/坪の土地を隣地所有者だからと言って200万円/坪と吹っかけられたのです。当然、私の実父は即答で「NO!」と言ったそうです。ちなみに私の実父は純粋な江戸っ子であり外人ではありません。120万円/坪までなら検討の余地はありました。しかし、ざっくり2倍の価格です。中途半端に高い訳ではないので、あっという間に諦めがついたようです。
実父が隣地購入を断って数か月後、その空き地で突如工事が始まりました。10坪の土地の住宅を建て始めたのです。東京都区内には特に土地がありません。それ故、地方と比べると東京の住宅の面積は狭いです。熊本だと敷地面積が30~40坪はないと”狭い”ですが、東京では20坪でも普通です。しかし10坪はやり過ぎです。極端に狭すぎます。誰がこのような住宅に住むのかと思っていたら、なんと、
いま流行りの民泊
として利用するとの事です。最初は実家の人間の誰もが「東京の下町に民泊!?」と不思議に思いましたが、住宅が竣工し程なくした後に外国人の方が大荷物と共にそこに住み始めたようです。”夜はうるさい””ゴミ出しの日を守らない”などマナーを守らない利用者だったので、私の祖母が利用者ではなく住宅の所有者にクレームを入れたところ大分改善されたとの事です。
私は年に2,3回しか実家に帰っておりませんが、実家に帰る際には必ずその民泊の様子を伺っていました。私が帰る時はマナーが守られていない様子もなく、至って普通に思えました。そして、つい先日東京に帰省した時に実父に「民泊どう?」と聞いたところ、
「民泊としての利用者が居なくなったから、所有者が不動産業者に売ったよ」
という衝撃的であり、かつある程度予想が出来ていた答えが返ってきました。他の近隣住民の方からもクレームが出ていたらしく、これ以上民泊として運営することが困難になったそうです。”民泊として運営が出来なくなった10坪の住宅”、他にどのような利用方法があるのでしょうか。もちろん、駐車場はありません。住宅の中に入ったことが無いので分かりませんが、民泊仕様の簡易な造りになっているでしょう。中古住宅としての売買の可能性は低いと言わざるを得ませんが、何の勝算があって不動産業者はこの住宅を購入したのでしょうか。
ここは責めるべきではなく待つ時です。ニッチもサッチもいかなくなれば、また私の実家に購入の打診があるはずです。価格次第では購入の可能性もあります。「人事を尽くして天命を待つ」とはこの様なことを言うのですね。私はビックリするくらい何もしていませんが。。。
隣地を購入するという事は、皆さんが思っている以上に難しい取引になります。隣地を所有している事がバレると高値での交渉になってしまうので、別の人に一旦購入してもらってから、その人から購入するというような荒業を行う人もいるようです。「税金面を考えた場合、果たしてそれが正解なのか?」というギモンは残りますが、そうまでしないと隣地の購入に支障をきたす場合も多々あるのです。
もちろん、すんなり購入できる場合もありますので気にし過ぎる必要はありません。空地や空き家が増加傾向のこのご時世、逆に「安くしますので買ってください!」という事も考えられます。不動産取引にこれと言った雛形はありません。全てケースバイケースです。今回の場合は私の実父が吹っかけられました。そして民泊が出来ましたが、ダメになりました。この次にどのような展開が起こるのかは誰にも分かりません。「こういう事もあるんだ」という程度で今回の記事をお読みいただければ嬉しいです。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。