とある穏やかな土曜日のお昼時、会社の電話が鳴りました。基本的に土日祝日は定休日なのですが、仕事が終わらず会社にたので電話に出ました。
お客様:「土地のリースバックをお願いしたいんだけど…」
私:「はっ!?」
土曜日という事もあり少し眠かったのですが、パッと目が覚めました。数年ぶりに聞いた”リースバック”という単語。普段聞きなれない単語を聞くとドキッとしますよね。なぜか私の心の中は「ヤバい、どうしよう!?」というように不安で一杯になりました。当サイトは不動産の無料相談サイトとして運営をさせて頂いております。不動産に関しての知識は一通りなければ話になりません。知らないことやお答えできないことがあるなど、決してあってはいけないのです。
相手の方曰く、「不動産 土曜日」で検索したら当サイトにたどり着いたとのこと。「そんなワードで当サイトが引っかかるんだ…」というのが私の正直な感想。しかし、わざわざ検索をして当サイトにたどり着きお電話までしてくれたお客様に不親切な対応をするわけにはいきません。当社が買主となり不動産を購入することはほとんどありませんが、このようなお問い合わせも随時受け付けております。仲良くさせて頂いている同業他社には、随時物件を購入している不動産業者も多数おりますので。当サイトは仲介のお手伝いや専門家のご紹介などがメインの業務内容です。ですが、ご相談いただいたからにはキッチリ対応させていただきます。
まずは聞きなれないリースバックという言葉の説明が必要ですね。
リースバックとは、自宅や事務所などの不動産を売却した上で、その不動産の買主とリース契約(賃貸借契約)を締結し、売却後も引き続き不動産を利用する方法です。”不動産を継続使用しながら不動産の売却資金も得られる”というメリットがあります。もちろんリース料(賃料)をお支払いする必要はありますが。
企業においては赤字決算回避のためにこのリースバックが利用されることが多いです。つまり、赤字が予想される期において、
- 一方で資産を処分し赤字を回避する必要があるが、
- 他方においてはその資産を継続して利用する必要もある
場合にリースバックが利用されます。カンタンに言えば「お金に困っている」場合に利用されることが多いです。住宅を対象不動産として個人の方にリースバック方式により資金を融通している会社も多数存在します。
- 住宅ローンの支払いが厳しい
- 教育費、治療費
- 借金の返済
個人においてもまとまった資金が必要な場合にリースバックが利用されます。確かに”不動産をそのまま利用しながら売却資金を得ることが出来る”のは助かります。住宅は”住まい”であり”生活の本拠地”です。住宅を中心として様々なコミュニティが形成されています。通勤通学やご近所付き合い、その他の活動においても中心となるのが住宅です。リースバックを利用すれば、そのようなコミュニティを壊すことなく資金を調達できるのです。まとまったお金が必要な場合には、リースバックを検討候補に挙げても良いでしょう。
もちろん、良い事ばかりではありません。注意点も存在します。個人でも法人でもまとまった資金が必要な時に利用されるのがリースバックです。困っている時に利用することがほとんどです。つまり”足元を見られる”可能性が高いのです。どのように足元を見られるのかと言えば、「不動産の売却価格が相場価格よりも安くなる」という事が多いでしょう。リースバックを提供している会社も営利企業です。「安く買う」に越したことはありません。様々な理由をつけて安く購入しようとするでしょう。
また、継続して利用するための賃料が高くなりがちです。これも前述した”足元を見られる”ことと一緒です。「安く買って高く貸す」仕組みこそがリースバック提供会社の儲かる理由です。あの手この手を使って”安く買おう”とし、あの手この手を使って”高く貸そう”とします。悔しいですが、経済活動においては資金に余裕がある人が強いのです。資金に乏しい人は多少の不利は吞み込まなければいけません。
説明が長くなってしまいましたが、これがリースバックです。このリースバックを求めて土曜日に当社に電話がなったのです。以下その続き。
お客様:「おたくの会社はリースバックなどはやってるの?」
私:「基本的にはやっていませんが、同業他社をご紹介することは可能です。対象不動産はどの地域にございますか?」
お客様:「神奈川県」
私:「おおよそ何坪程度になりますか?」
お客様:「2万坪」
私:「え、2万坪!?」
お客様:「引き受けてくれそうな会社はあるかな?」
私:「規模が大きすぎるので、すぐには思いつきまん…」
ツーツーツー…
そこで電話は切れてしまいました。携帯電話の番号が通知されていましたので掛け直すことは可能でしたが、私はあえて掛け直しませんでした。なぜか掛け直してはいけないような気がしたので。。。
真偽のほどは定かではありません。電話でのやり取りのみですので。今後もこのようなお問い合わせを頂くことは多々あると思っています。そのような場合に備えて、より一層勉強しなければいけないし、より一層ご協力いただける同業他者様との縁を深めなければいけないと感じた今日この頃でした。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。