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2018.08.28   2020.06.19

熊本唯一の百貨店「鶴屋百貨店」に未来はあるのか?

熊本唯一の百貨店「鶴屋百貨店」に未来はあるのか?

熊本には百貨店が1つしかありません。その名も”鶴屋百貨店(以下「鶴屋」)”。”熊本”とか”肥後”とかの接頭語が付きそうなもんですが、なぜか”鶴屋”。念のため調べてみましたが、残念ながら分かりませんでした…

実はもう1つ、”県民百貨店”という百貨店があったのですが、2015年に閉店してしまいました。

私も何度か足を運んだことはありますが、「お客様の数はとても少なかった」と記憶しています。経営が厳しいであろうことは容易に想像が出来ました。テナント構成も昔っぽくて「若い人たちは間違いなく足を運ばないだろう」と思っていました。閉店は非常に残念ですが、味方によっては然るべきであったと考えることも出来るのではないでしょうか。

その後、鶴屋の1人勝ちが続いていました。そもそも百貨店が1つしかないので、1人勝ちという表現が正しいのかどうかわかりませんが。普通よりワンランク上の服なり食材なりが欲しい時は、鶴屋に行きます。”行きます”というよりも”行かざるを得ない”のです。熊本には鶴屋しかありませんし、わざわざ新幹線に乗って博多鹿児島中央に行くわけにもいきません。新幹線代、高いっすからね。。。


2018年現在においては向かうところ敵なし状態の鶴屋ですが、今後も1人勝ち状態が続くかと言えば、「No」です。これはハッキリという事が出来ます。鶴屋の存在自体を脅かしかねない超強力な商業施設のオープン(及びオープン予定)が控えてますので。

まずは。以前県民百貨店があった場所に2019年の夏に大型複合施設がオープンします。

参照元:熊本都市計画 桜町地区第一種市街地再開発事業

バスターミナルを中心として、商業施設、ホテル、シネマコンプレックス、住宅やホールなど多様な施設が一体となった複合施設です。

敷地面積:30,266.83㎡

建築面積:27,010㎡

延床面積:160,330㎡

地上15階/地下1階

かなり大規模な複合施設ですよね。鶴屋百貨店も売り場面積自体は71,813㎡もあります。何と2016年時点では全国で8位の売り場面積を誇っているのです。上位には大阪や東京、愛知や神奈川などの百貨店が並んでいます。九州では福岡の井筒屋を抑えて鶴屋百貨店が1位です。何気に凄いんですよ、鶴屋は。しかし、そんな鶴屋の2倍以上の延べ床面積を誇る複合施設が誕生してしますのです。鶴屋にとっては間違いなく脅威であります。

※ちなみに、2016年の売り場面積ランキングの1位はあべのハルカス近鉄本店(大阪)の100,000㎡です。2位は阪急梅田本店(大阪)の97.519㎡であり、大阪のワンツーフィニッシュです。

シネマコンプレックスには”TOHOシネマズ(東京)”、地下1階のスーパーには”フードウェイ(福岡)”の出店が既に決まっているとの事。フードウェイさんについては存知あげていなかったのですが、HPによると福岡県を中心にスーパーマーケットを25店舗も展開している会社さんのようです(「フードウェイ」という屋号で20店舗、「ハイマート」という屋号で5店舗)。神奈川や千葉にも出店しています。

参照元:株式会社フードウェイHP

参照元:JR九州「熊本駅ビルの開発概要について」

新しいスーパーさんが熊本に出店することは、熊本県民にとっては有難いですが、鶴屋さんにとっては目の上のたんこぶでしょう。百貨店の稼ぎ頭の1つは地下の食品売り場です。そのライバルとなるべきスーパーが近隣に新規出店してくるのですから。多少の売上減は覚悟しなければいけないかもしれません。

その他にも多種多様なテナントが出店するでしょう。鶴屋には若者向けのアパレル店舗は明らかに不足しています。どちらかと言えば、百貨店特有のちょっとお高めなアパレルブランドが多いです。鶴屋と複合施設では顧客層は異なるかもしれませんが、こればかりはオープンしてみないとどうなるかは分かりません。もう1年後の話なので、鶴屋さんも色々と対策を練るべきではないでしょうか。


さらに、2021年には熊本駅に駅ビルが出来ます。

参照元:JR九州「熊本駅ビルの開発概要について」

敷地面積:19,000㎡

延床面積:107,000㎡

商業店舗面積:37,000㎡

地上12階/地下1階

これまた鶴屋にとってはライバルとなるべき駅ビルです。2021年完成予定です。九州では博多に次ぐ規模の駅ビルとなるようです。こちらの駅ビルにはどのようなテナントが入居するのかは分かりませんが、私はこの駅ビルの方が直接的に鶴屋に与える影響が大きいと考えています。

なぜか、それは、駅ビルがあることによって新幹線で熊本に遊びに来た方々のお土産やショッピングの需要が全て熊本駅で満たされてしまうからです。駅ビルがない時は、「お土産でも買いに鶴屋に行ってみようか?」となる可能性が高いです。しかし、駅ビル内に多種多様なテナントが出店した場合、わざわざ鶴屋まで行く必要が無くなる可能性が大きいのです。駅ビルのテナント構成によっては、この影響力は計り知れないものになるかもしれません。


ハッキリ言わせて頂くと、鶴屋の今後は前途多難です。プラス要因は見当たりません。マイナス要因は次から次へと生じます。熊本唯一の百貨店としてこの難局をどう乗り切るのか、鶴屋の経営陣の手腕をじっくりと観察させて頂きます。

最後までお読み頂きましてありがとうございました。

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