マンションなどの賃貸住宅を借りる際には賃貸借契約を締結します。この賃貸借契約には契約上の一般的な内容が書いてあることがほとんどです。国土交通省が、
「賃貸住宅標準契約書」
という契約書の雛形をHP上に掲載しています。各条項に関する考え方や注意事項なども掲載されています。
しかし、賃貸借契約を締結する場合において、この一般的な契約書だけを締結することはほとんどありません。ほとんどの場合、特約を締結する必要があります。特約とはその名の通り「特別な契約」の事です。この特約、結構問題になることが多いんですよ。知らずに「ほいほい」と特約にハンコを押してしまったら、後で大変なことになりかねませんよ。
賃貸住宅の賃貸借契約を締結する場合、貸主側には仲介業者が付いていることがほとんどです。ですので、契約書上のやり取りは、
仲介業者⇔借主
で行う事が一般的です。まずここが最初の問題点なのですが、借主は賃貸借契約書の内容はもちろんの事、特約に関する深い知識を持ち合わせていないことがほとんどです。そもそも”契約書や特約の内容について交渉の余地がある”と理解している方のほうが少ないでしょう。
もちろん、物件によっては実質的に交渉の余地がないものも存在しますが、日本の民法は「契約は自由であること(契約自由の原則)」を大前提として成り立っています。つまり、契約内容は当事者間で自由に決められますし、その内容に不満があるのであれば契約をしなければよいのです。
ただし、一般の方にとってみればそんな原則があること自体分かりませんし、提案された契約書に文句をつける事などなかなか出来ません。立地と家賃と設備などに問題が無ければ、契約書にハンコを押しちゃいますよね。ごく当たり前の事なのですが、今後は少し気を付けてください。特約によっては借主に明らかに不利になるものもありますので。
ここで、私の住居の賃貸借契約書に付随する特約を見てみましょう。条文のままではなく省略して掲載します。
解約には30日以上の猶予期間をおく。そうでない場合は違約金として家賃の1か月分を違約金として支払う
これはそれほど問題ではないでしょう。まぁ普通です。「60日以上猶予期間をおいてくれ。」という場合もあります。
1年未満で解約する場合は家賃の1か月分を違約金として支払う
急な転勤ややむを得ない事情による引っ越し以外は、1年以内で賃貸借契約を解約する場合はほとんどないのではないでしょうか。特にお子様が小学校などに進学した場合には、学区や通学の問題も出てきますので。違約金も”家賃の1か月分”なので、許容範囲なのではないでしょうか。私には問題ありませんでしたが、いかがでしょうか。。。
賃借人及び連帯保証人が暴力団とは一切関係のない事。もし関係がある場合には、無条件契約解除及び無償にて直ちに退去
問題ありません。
ペット禁止
問題ありません。
入居中は火災保険に継続して加入する事
問題ありません。特約が無くても怖いので自ら加入します。
退去時に畳の表替え、襖の張替えを賃借人負担で行う
これはちょっと問題のある特約です。「畳の表替え」や「襖の張替え」は、経年劣化であり通常損耗であるためその補修は貸主負担で行うのが原則です。それを特約により借主負担にしているのです。
というか、なんでこんな特約を受け入れているんだろう…思い出せない。。。「自らを犠牲にしてこのような特約を結んだらどうなるのか?」を皆さんに紹介しようとでも思っていたのでしょうか。これは退去時に交渉しなければいけない事項です。今から理論武装を考えておきます。
ホームクリーニング費用の負担
これも要交渉事項です。「原則:貸主負担⇒例外:借主負担」となっていますので。交渉結果がどうなるのか、乞うご期待!
って、まだ退去する予定はないですけど。。。
補修改善費用として敷金から家賃の1か月分を差し引く
いわゆる”敷引き”ってやつです。関西地方特有の慣習だと思っていましたが、九州でもその習慣があったようです。カンタンに言えば「有無を言わさず退去時に敷金から家賃の1か月分を徴収します」というもの。補修改善費用という名目がありますが、補修や改善する必要が無くても持っていかれます。こちらも要交渉事項ですね。ガンバります。
契約時以降、初めてマジメに賃貸借契約書及び特約を確認しましたが、トラブルの種となりそうな特約事項が含まれていました。「なぜこんな契約書にハンコを押したのか?」と考えていたところ、なんとなく思い出しました。私が住んでいる物件は分譲賃貸であり、オーナーさんがどうしても折れてくれなかったのでした。周辺にめぼしい物件が無く、「まぁいいか、後で考えよう」と思って契約をしたのでした。まぁしょうがないです。後は私の交渉テクニック次第ですので。
皆さんはこのような事にならないよう、しっかりと賃貸借契約書及び特約事項を確認してくださいね。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。