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2017.12.18   2018.05.30

共同担保目録を可能な限り分かりやすく説明してみる

不動産特定共同事業法とは何か?

1つの債権の担保として複数の不動産に対して設定された抵当権を一括して記載した登記事項の事です。では、なぜ1つの債権の担保として複数の不動産に抵当権を設定するのでしょうか。

債権額分の担保の確保

例えば、債権額が1億円の場合、抵当権を設定する予定の不動産の価値が7,000万円しかないのであれば、債権者としては不安ですよね。債務者の返済が滞り抵当権を実行したとしても、MAXでも7,000万円しか返ってこない可能性があります。これなら貸さない方が良いかもしれません。

しかし、債務者が他にも不動産を所有していて、その不動産に対しても抵当権を設定してよいというのであれば、話が違ってきます。その不動産の価値が3,000万円以上あるのであれば、1億円の債権額に対する担保(7,000万円の不動産+3,000万円の不動産)としては十分です。

いち不動産業者の私から言わせて頂くと、債権額分の担保の確保はとても重要です。例えお知り合いの方とお金のやり取りをする場合でも、その金額分の担保はしっかりと確保しておきましょう。

担保不動産の価値の維持

AさんはBさんへの債権額の担保の為に、Bさんが所有している不動産(土地の上に建物が建っていて、両方ともBさんが所有者)の土地のみに抵当権を設定しました。Bさんの返済が滞り、土地に対する抵当権を実行した場合、その土地の価値は著しく低いものになってしまいます。大損する可能性が大です。

なぜかと言えば、Bさんが所有している建物に関して法定地上権が生じる可能性があるからです。

法定地上権(ほうていちじょうけん)とは、土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属している場合に、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときに当該建物に成立する地上権。約定地上権とは異なり当事者間の合意による設定ではなく法律の規定によって当然に生じる。日本独特の制度であるとされ、これを継受した韓国民法にも同様の制度がある。

参照元:Wikipedia「法定地上権」

詳しい説明は省略しますが、ようはBさんが所有していた建物付き土地に関して、抵当権の実行により土地の所有権が他者に代わった場合には、建物に関して地上権が設定されるのです。自動的に。この事を言い換えれば、抵当権の実行により新たに土地の所有者となった人は、法定地上権の発生により、その土地を自由に利用することが出来なくなります。自由に利用できない土地など、大した価値はありません。土地は自由に利用できてこそ価値があるのです。

上記のような事態を避けるために、土地とその上に存在している建物の両方に抵当権を設定する事が多々あります。これにより、土地及び建物が共同担保目録として記載されるのです。

※住宅ローンを借り入れた場合にも、土地と建物が共同担保になります。よって共同担保目録として登記簿に記載されます。

繰り返しますが、上記のような1つの債権の担保として複数の不動産へ抵当権を設定(共同担保とも言います)する場合、それがすぐに分かるようにしたものが共同担保目録です。このような目録を作成しておけば、利害関係者が不測の損害を被ることを防止 することも出来ます。もちろん、しっかりと登記簿を見なければいけませんけど。。。


そもそも「1つの債権に対して1つの不動産にしか抵当権は設定できない」というルールはありません。極端な事を言えば、1つの債権に対して10個だろうが100個だろうが不動産に抵当権を設定しても構わないのです。もちろん、当事者がそれで良ければの話ですが。。。面倒くさいですし、抵当権設定費用が莫大な金額になるというデメリットは存在します。まぁ、抵当権者としては担保不動産はたくさんあるに越したことはありません。他方、抵当権を設定される方としては、担保不動産は少ないほうが良いのは言うまでもありません。

「一不動産一登記用紙の原則」の例外

前述しましたが、1つの債権の担保として複数の不動産へ抵当権を設定することは何も問題はありません。しかし、その登記の方法には多少問題があります。

本来は1つの不動産に1つの登記書類がなければいけません。1つの登記に関して複数の登記書類があったら「どれがホンモノの登記書類なのか?」分からなくなります。他方、登記書類が1枚もなければ、「本当に登記がされているのか?」というギモンが生じるでしょう。このようなトラブルを回避するために「一不動産一登記用紙の原則」があります。1つの不動産には1つの登記用紙しかダメなのです。ダメなのですが、共同担保を申請する場合には、例外として扱われます。共同担保となる複数の不動産への抵当権設定登記の際にも、1つの申請書に「これらの不動産も共同担保としますよ」という目録を添付すれば良いのです。実務的な要素が強いお話ですが、頭の片隅に入れておいてください。

共同担保目録の取得方法

極めてカンタンです。登記事項証明書の交付申請を行う際に、申請書に記載されている「共同担保目録付き」にチェックを入れて申請すればOKです。私にも出来そうです!

最後までお読み頂きましてありがとうございました。

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