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2017.09.22   2020.07.13

これがキホン!誰でもわかる不動産の生前贈与

借地権に必要な税金

不動産を生前贈与を考えているそこのアナタ。

 

ちゃんと生前贈与のことを知っておかないと後で後悔します。特に税金面。

今から生前贈与のキホン中のキホンを説明します。もちろんメリットもあるしデメリットもあります。

 

ご自身がお持ちの不動産の種類によってもベストな方法は異なります。例えば、贈与ではなく相続をさせて相続税を節約する方法を考えた方が良い場合です。

 

キホンを理解した上で生前贈与をするかどうかはご自身で判断してください。

 

毎度の事ですが、私の記事では難しいことは一切省略します。キホンしか説明しません。まずはキホン中のキホンをマスターして骨太の知識を手に入れましょう。

目次

1.生前贈与とは

その名のとおり、生前のうちに財産を贈与することです。

将来相続人に発生する相続税の負担を減らすことが主な目的です。

 

しかし、1つ問題があります。

生前贈与を行う事により相続税の負担を減らすことはできますが、その代わりに贈与税などの負担が発生します。

 

では生前贈与を行った際にはどのような負担(税金)が必要なのでしょうか。

2.不動産の生前贈与を行うために必要な税金

2-1.贈与税(暦年課税)

贈与対象物の課税価格により異なりますが、

 

10%~55%

 

まであります。不幸にも55%の最高税率がかかってしまった場合は、

 

アナタ:45% クニ:55%

 

ということになります。

これは…なんと表現すればよいのか分かりません。ノーコメントとしておきます。

2-2.登録免許税

固定資産税評価額×2%

2-3.不動産取得税

固定資産税評価額×3%

※不動産の取得時期によって、3%よりも低くなることがあります。

※相続の場合には不動産取得税は必要ありません。

 

もう一度言わせてください。先ほどはノーコメントとしましたが、

 

やっぱり贈与税、高すぎます。

 

このままでは誰も生前贈与しません。

自分が血のにじむような努力をして築きあげた財産を国に寄付しているようなのもです。

喜んで寄付ができる人ばかりではないのです。

 

その辺りは日本としても色々と考えたのでしょう。「もう少し緩和しないと生前贈与の制度自体が無意味になる」と誰かが言ってくれたのかもしれません。

贈与にかかる税金への様々な対応策を準備してくれています。

相続税の計算

3.不動産の生前贈与に必要な税金への対応策

3-1.贈与税計算の際の控除額

3-1-1.暦年課税制度の基礎控除額110万円

1人あたり毎年110万円までの贈与ならば非課税

 

3-1-2.相続時精算課税制度の特別控除額2,500万円

⇒60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子供や孫(推定相続人)へ贈与する場合、2,500万円まで非課税

⇒贈与税は掛からないが、相続が発生した際に贈与時の不動産価格で計算された相続税がかかる

 

3-1-3.贈与税の配偶者控除

⇒夫婦間での贈与の場合、2,000万円まで非課税

 

暦年課税制度及び相続時精算課税制度に関して少し補足します。

 

暦年課税制度及び相続時精算課税制度=贈与税の非課税措置の1つ

 

上記のように理解されている方は間違っています。

2つの制度はあくまで課税に関する制度です。各々の制度の中に基礎控除額や特別控除額が設定されているというだけです。

暦年課税の主旨は、

 

生前贈与をした場合には10~55%の税率を掛けますが、基礎控除額110万円までは非課税です

 

ということなのです。また、相続時精算課税制度は、

 

生前贈与をした場合には2,500万円までは贈与税は要りません。2,500万円を超える贈与に関しては一律20%の税金をもらいます。贈与税をもらわない代わりに相続が発生した際には相続税を支払ってください

 

という意味です。

 

大した違いはないかもしれませんが、物事を深く理解するためにはその制度の趣旨や成り立ちを理解しなければいけません。

 

次にそれぞれの制度のメリットデメリットを考えていきます。

4.各種制度のメリットデメリット

4-1.暦年課税

贈与税の課税方式には

暦年課税

相続時精算課税制度

の2種類がありますが、暦年課税が通常の課税方式になります。

何もしなければ暦年課税になり、特別な申請を行えば相続時精算課税制度になります。

メリット

◇①誰から②誰に対して③どんな財産でも贈与可能

 

◇相続財産に加算されない

デメリット

◆基礎控除額を超えた贈与に関しては10~55%の税金が必要

 

◆相続発生時から3年以内の贈与は、相続税の課税財産に加算される

※贈与を行った際の価格にて加算

4-2.相続時精算課税制度

この制度を選択した場合のみ利用可能となります(選択しない場合は暦年課税となります)。受贈者毎の選択制となっているので、いちど相続時精算課税制度を選択すると暦年課税への変更はできません。

60歳以上の親または祖父母から、20歳以上の子供または孫(推定相続人)への贈与の場合にのみ適用されます。

2,500万円を超える贈与に関しては一律20%贈与税が必要ですが、この制度を利用して贈与税を支払った分に関しては相続税から控除することが可能です

メリット

◇贈与税なし(もしくは圧縮)で多額の財産を贈与の贈与が可能

※相続税は掛かるので注意

 

◇相続税清算課税制度を利用し贈与を行った後に相続が発生した場合、贈与時の相続税評価額で相続財産へ加算されるので、将来値上がりしそうな土地であれば相続税の節税になる可能性がある。

 

◇特別控除額を超えた贈与に関しての税率が暦年課税より低くなる場合がある(一律20%)

デメリット

◆逆に値下がりしそうな場合にはデメリットになり得る

 

◆110万円の暦年課税制度が利用できなくなる。途中で制度の変更も不可

 

◆贈与税は抑えることができるが、相続税は必要。ようは相続税の先延ばし

4-3.夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

婚姻期間が20年以上の夫婦間の間で自宅の不動産を贈与した場合に適用されます。

⇒2,000万円まで非課税(基礎控除額110万円+2,000万円=2,110万円まで非課税)。

メリット

◇相続税の圧縮効果がある

 

◇相続開始後の3年以内の贈与でも、生前贈与加算の対象外となる

 

◇新しく住居を購入するための金銭の贈与なら2,000万円までなら非課税

デメリット

◆そもそも相続税の配偶者控除という制度で

1億6千万円

配偶者の法定相続分

の高い方の金額までは非課税になるので、あえて生前贈与をする必要性が見当たらない。

生前贈与の場合には登録免許税及び不動産取得税が必要なので、逆に高くついてしまう可能性もある

 

◆自宅の評価額を8割減に出来る小規模宅地等の特例が利用できない

5.まとめ

いかがでしたでしょうか。

生前贈与を行う場合にまず考えなければいけない事は、

 

暦年課税制度or相続時精算課税制度のどちらを利用するのか

 

です。不動産のような大きな財産の場合は相続時精算課税制度を利用することが多いです。

ちなみに、

 

暦年課税制度と夫婦間贈与の配偶者控除⇒併用可

相続時精算嘉永制度と夫婦間贈与の配偶者控除⇒併用不可

 

なのでご注意ください。相続時精算課税制度は主に親⇒子の制度であり、夫婦間贈与の配偶者控除⇒夫婦間の制度なのでよく考えてみれば当たり前ですけどね。


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