マイホームを売る予定ありますか?
マイホームってそもそも自分で住むために買うわけじゃないですか。別にお金儲けするために買うわけじゃありません。
では知ってますか。
マイホームを売却して利益が出た場合には、普通に税金が掛かることを。
不動産投資用に購入した物件なら理解できるのですが、マイホームの売却益にも利益が掛かるって…
「利益のあるところに税金あり」
ということなんでしょう。ちなみにこれは私が作った言葉です。決して家訓や社訓にはしたくない言葉ですね。税金は日本という国を運営していくために必要なものです。損をした気分になること間違いなしですが、しっかり払わねばいけません。
でも世の中には「アメとムチ」という言葉があります。税金というムチに対するアメ(特例)をマイホーム売却益にも用意してくれています。
さすがNippon。Nipponバンザイ。
目次
- 1. 譲渡所得の特例の王道!「3,000万円の特別控除」はなぜできた?
- 2. 3,000万円の特別控除の概要
- 3. 3,000万円の特別控除の適用要件
- 4. 3,000万円の特別控除の適用に関する注意点
- 5. 3,000万円の特別控除を受けるための手続き
- 6. まとめ
1. 譲渡所得の特例の王道!「3,000万円の特別控除」はなぜできた?
なぜこのような特例ができたのか。
マイホームを売却した後の利益に所得税が掛かるとなったら、マイホームを売却しようとする人が減ってしまいます。そのように売却する機会を失ったマイホームは、相続により空き家化してしまう可能性が非常に高い。それは防止しなければならないと考えた日本は、マイホームの譲渡所得から3,000万円の特別控除を制度として設けたのです。
つまり、
個人の不動産(マイホーム)の売買をよりやり易くして
その結果として空き家の増加も防止する
この2つの趣旨がこの3,000万円の特別控除にはあるのです。
2. 3,000万円の特別控除の概要
2-1. 不動産の譲渡所得の計算方法、考え方
譲渡所得=譲渡価格ー取得費ー譲渡費用
参考:まさかの税率約40%!不動産の短期譲渡には気を付けて!
取得費は売却した不動産を取得した費用です。
しかし不動産を取得したのが何十年も前になると、取得費の明細や証明するものが残っていないことがほとんどです。
そこで、ほとんどの方は譲渡価格の5%を取得費とみなすことが出来る概算取得費の特例を使用します。
譲渡費用は不動産を譲渡するのに掛かった費用。具体的には仲介手数料、測量費、司法書士費用などです。
上記の計算において譲渡所得がプラスの場合、
譲渡所得×20%(所得税15%、住民税5%)=税金
となります。
ここまでは簡単ですね。計算をした譲渡所得がプラスの場合には税金がかかるのです。
2-2. 3,000万円の特別控除の考え方、概要
次に譲渡所得がプラスの場合でもマイホーム売却に関して所得税を徴収してしまうと、売却自体が行われなくなってしまう可能性がある。税金嫌いな人が多いですから。
そこで3,000万円の特別控除の登場です。
(プラスの譲渡所得)―3,000万円=プラス⇒すいませんが、もうけ過ぎなので所得税を払ってください
(プラスの譲渡所得)―3,000万円=マイナス⇒あなたは儲かってしますが、今回は所得税は払わなくて結構です
特別控除額の3,000万円は譲渡価格からの控除額ではなく譲渡所得からの控除額です。
一般的な場合を考えると、3,000万円も引いた後に利益が残るなんてことはまずないでしょう。
ここで利益が残るようであれば仕方なく所得税を払いましょう。
儲けすぎですので。
しかし、さすがはNippon。
3,000万円の特別控除の他に
「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」
という制度も用意してくれています。3,000万円の特別控除と併用可能です。
2つの制度を併用できるってスゴくないですか。私は感動すら覚えました。この制度も非常に重要なものなので、別の記事で改めて記載します。
日本国として本当に「中古住宅の売買を活性化させたい」という強い意志を感じます。
3. 3,000万円の特別控除の適用要件
念のため適用要件を記載しておきますが、明日には忘れてしまうでしょう。
無理して覚えなくてダイジョウブです。
3-1. 不動産(マイホーム)に関する要件
- 実際に住んでいたマイホームや敷地の譲渡
- 住んでいない場合は、住まなくなった日から3年経過後の12月31日までに譲渡
- マイホームが災害により無くなった場合は、災害発生日から3年経過後の12月31日までに敷地を譲渡
- 災害以外でマイホームを取り壊した場合(敷地譲渡の為)、住まなくなった日から3年経過後の12月31日までに譲渡かつマイホーム取り壊し日から1年以内に譲渡
- 転勤などで単身赴任の場合、配偶者などが生活の拠点として利用しているマイホームを譲渡(2つ以上のマイホームを所有する時は主たるマイホームの売却)
※別荘などの一時的な仮住まいにはこの特例は適用されません。
3-2. 譲渡先に関する要件
夫婦や親子などの近親者、特殊な関係にある法人などが譲渡相手の場合はこの特例は適用されません。
3-3. 3年に一度しか利用できない特例との関係
譲渡した(する予定)マーホームに関して3年に一度しか利用できない特例を前年・前々年に利用している場合、この特例は適用されません。
具体的には、
- 本特例
- 買換え・交換の特例
- 譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
です。
3-4. その他の課税特例との関係
譲渡した(する予定)マイホームに関して、収用交換などの特例を受けていた場合、この特例は適用されません。
また、マイホームを譲渡した(する予定)の日の属する年の所得について住宅ローン控除を受けた場合、この特例は適用されません。
4. 3,000万円の特別控除の適用に関する注意点
ここも少し難しい話ですので、下記のような状況にあるかたのみガッツリ読んでください。
4-1. マイホーム兼店舗の場合
原則:マイホームの部分のみに適用(譲渡価格より面積按分)
例外:マイホームの面積が90%以上ある場合は、すべてをマイホームとして適用
4-2. マイホームが共有名義の場合
共有名義のマイホームを譲渡した場合、共有名義人毎に特例が適用されるかどうかを判断します。
そして適用が認められた共有名義人毎に本特例が適用されます。
共有名義人3人がみな本特例適用=それぞれが3,000万円の特別控除
4-3. 敷地の一部の譲渡、マイホームの所有権を移さず敷地のみを譲渡
本特例は適用されません。
4-4. マイホームと敷地の所有者が異なる場合
原則:マイホームの所有者にのみ本特例適用
例外:下記の2要件を満たす場合は、マイホーム所有者の譲渡所得から控除しきれなかった残額分について本特例を適用
- マイホームと共に敷地が譲渡されたこと
- マイホームの所有者と敷地の所有者が同居しており、生計を共にしている同居親族であること
5. 3,000万円の特別控除を受けるための手続き
確定申告が必要です。
忘れてしまった場合、本特例は適用されません。絶対に忘れないようにしましょう。
確定申告書の添付書類としては、
- 譲渡所得の計算明細書
- 住民票の写し
住民票はマイホームを譲渡した日から2か月を経過した後に、譲渡したマイホームの所在地を管轄する市区町村から交付を受けたものに限ります。
6. まとめ
いかがでしたでしょうか。
3,000万円の特別控除の特例は多くの方が利用している特例ですので、要件も緩やかです。必要書類も全く多くありませんので、マイホームの譲渡を検討されている方はぜひ利用してください。
確定申告が必須ですので、絶対に忘れないように。