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2017.10.02   2020.07.13

不動産売買の仲介手数料に関する5つの疑問?これで解決!

仲介手数料

仲介手数料はあやしい

 

と思われる人いらっしゃいますか。

ハイ、私です。

 

仲介手数料、どの仲介業者も基本的には同じ3%ですよね。私は不動産業界に入った当初はこう思っていました。

 

「これは間違いなく大手不動産会社が談合によって決めたものだ!」

「さもなければ、裏でとてつもない大きな力が働いているのでは?」

 

若気の至りってやつですね。世間知らずもいいとこです。

仲介手数料は国民の代表である国会議員の方々が作られた法律に基づいた報酬です。正当なものです。

 

確かに一律で物件価格×〇%という決め方はどうかと思いますけど。

 

今回はこのブラックボックスに片足を突っ込んでいる仲介手数料について、みなさんが疑問に思うであろうことを私がピックアップし考えていきます。全ての疑問を網羅することはできませんが、そこは私に免じて許してください。

目次

疑問No1.そもそも仲介手数料は何の業務の対価として支払うのか

それを検討するには売買仲介時に仲介業者がどのような業務を行っているのかを知る必要があります。

 

仲介業務一覧

 

仲介業者さんは1つの物件の売買において、上記のような業務を行ってくれているのです。

不動産売買の仲介業を経験されている方であればお分かりいただけると思いますが、だいぶ大変です。

上記の業務のいずれかで1つや2つのトラブルは起こると思っていたほうが賢明です。

 

今後は安易に「仲介手数料が高い!」などとは口走らないようにしてください。

仲介業者のみなさんは見えないところで頑張っているのです。

疑問No2.仲介手数料に法律の根拠はあるのか

満を持してズシリと重い話題の登場です。私の苦手な法律に触れざるをえません。頑張ります。

 

仲介手数料の根拠は宅地建物取引業法(以下「宅建業法」)にあります。

 

少し宅建業法の条文を見てみましょう。

 

宅地建物取引業法 第46条(報酬)

宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は賃借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。

 

とあります。仲介手数料は国土交通大臣が定めているようです。宅建業法に詳細な記載はありません。

では次に国土交通省の報酬に関する告示を見てみましょう。

 

宅地建物取引業者が宅地または建物の売買等に関して受け取ることができる報酬の額

最終改正 平成26年2月28日 国土交通省告示第172号

 

国土交通省 仲介手数料の報酬限度額

 

仲介手数料の上限を計算する際の売買金額は税抜き価格です。ここは注意してください。

上記は依頼者の一方から得られる報酬の上限額となります。そして、売主買主の間に仲介業者が1社しかいない場合には、

 

売主側から上限の範囲内の報酬+買主側から上限の範囲内の報酬

 

を得ることが可能です。

表にした計算式でも難しくはないと思いますが、もっとカンタンな計算方法があります。速算式といいます。見るからに早そうな式です。

 

(売買金額×3%+6万円)×1.08

※売買金額が400万円以下の場合の速算式は(売買金額×4%+2万円)×1.08です。

 

この式でイッパツ解決です。さすが速算式

 

せっかくですから少し計算してみましょう。例えば売買金額が5,000万円の場合、

 

仲介手数料の計算方法

 

見事に同じ数字です。

答えが違ったら私がビックリするところでした。安心しました。

 

少し話がそれてしまいましたが、宅建業法に仲介手数料の根拠がありました。また具体的な計算方法は国土交通省の告示によって定められていることが分かりました。

疑問No3.仲介手数料はいつ支払うのか

宅建業法上、仲介手数料を支払うタイミングに関する条文はありません。

仲介手数料は売買契約が成立して初めて発生します。あくまで成功報酬であり、着手金などは必要ありません。

基本的には仲介業務が成功した売買契約成立時以降であればいつでも構いません。実務上は

 

仲介手数料の支払い時期

 

という支払い方法がほとんどです。引き渡し完了時:100%という支払い方法もあります。

疑問No4.売買契約が解約された場合、仲介手数料はどうなるのか

売買契約が解除された理由により仲介手数料がどうなるのかが変わってきます。それぞれの理由ごとに考えていきます。

全てに共通する考え方は「売買契約が当初の目的通り成立したのか否か」です。

住宅ローン不成立の時(ローン特約付)

仲介手数料×

 

例えば

「買主が融資の承認を得られなかった場合、買主は本売買契約を無条件で解除することができる」

というような文言がある場合、売買契約は遡って効力が発生しなかったことになります。

白紙に戻るということです。

 

売買契約が白紙に戻りますので、仲介手数料の発生条件である「売買契約の成立」は達成されていません。

成功報酬である仲介手数料は発生しませんので、もし受け取っていたら返還する必要があります。

国土交通省が定める標準媒介契約約款を使用すれば、しっかりと返還するようになっています。

売主又は買主による手付解除

仲介手数料〇(諸説あり)

 

手付解除については、下記をご参照下さい。

 

中古物件購入のため売買契約を結び手付金を支払いました。この度家庭の事情により契約を解除することとなってしまい、その旨を仲介業者に伝えたところ「手付金は戻ってこない」と言われました。手付金の額も大きいので戻ってこないと困るのですが、なぜ戻ってこないのでしょうか。

 

この手付解除の際の仲介手数料が発生するか否かに関しては諸説ありますが、私は仲介手数料は発生すると考えています。

なぜならこの場合にも売買契約は有効に成立しているからです。

 

しかし、手付解除というものは「売主:手付倍返し 買主:手付放棄」をすれば理由を問わず契約を解除できます(※「契約当事者が契約の履行に着手するまで」という制限はつきますが)。

この手付解除に関しては仲介業者の責任は全くありません。仲介業者の責任で解除されるわけではないので、仲介手数料は認めるべきである、というのが私の主張です。

 

 

ちなみに、仲介手数料を認めるべきではない、という論者の主張は

 

手付解除が認められる契約はそもそも解除権を留保した契約であり、売買契約が成立したというには不十分

 

確かにそうなのですが、これでは売買契約が成立したとしても、どちらか一方が契約の履行に着手するまでは仲介手数料は発生しないとみなすしかありません。

そうであれば、売買契約の成立を要件とする仲介手数料の性質から逸脱してしまう、と私は考えます。

 

反論はやめてください。これ以上の再反論材料は持ち合わせていませんので。

売主又は買主による債務不履行による解除

仲介手数料〇

 

売主又は買主の債務不履行により売買契約が解除された場合とは、

売買契約は有効に成立したが、当事者どちらかの責任で売買契約が解除された」

ということです。売買契約自体は有効に成立していますので、仲介手数料は問題なく発生しています。

 

もちろん、債務不履行の原因が仲介業者にもある場合には報酬請求権は発生しません。

ただし、仲介手数料が減額される可能性はあります。

売買契約が無効である場合

仲介手数料×

 

前述したとおり、仲介手数料は成功報酬です。売買契約が無効の場合は売主買主が目的を達成したとは言えないので、仲介手数料は発生しません。

疑問No5.仲介手数料は値切れるのか

宅建業法上、仲介手数料は上限しか定められていません。極端な話をすれば、法律上は0円でも問題ないのです。つまり、

 

値切れます

 

しかし、値切った場合には様々なデメリットがあると思ってください。ちなみにデメリットは

 

仲介業者のヤル気がなくなり手抜きされる可能性が無限大

 

です。当たり前です。頑張ってももらえるものが少ないのであればヤル気などでません。仲介業者さんもボランティアでやってる訳ではないのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

普段からみなさんが気になって夜も眠れないトピックスを、自分なりに集めてみました。

今日からみなさんがお酒の力に頼らなくてもぐっすり眠れるようになることを願っています。


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