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2017.11.24   2020.07.12

不動産市場が良い時は不動産の転売の話は腐るほどあります!

短期譲渡所得税率40{9b6a60116f1ce4138cb916d038a564d83dd1a941c3c2e5ff8f9a4f78ff99e0c8}は転売防止!?

最初に断っておきますが、今回の話は宅建業の免許を取得している会社が不動産の転売を行った場合です。宅建業の免許をお持ちでない個人の方が不動産の転売を繰り返すことは「黒に近いグレー」なので、私は一切関わりたくありません。熊本でもトップ5に入るくらい順法精神あふれる男であると自負していますので。

 

イメージ悪いですよね、不動産の転売って。もうあっちの世界の人たちの聖域みたいな感じがします。ようはサンクチュアリですよ。使い方が間違っていたらすいません。

 

 

しかし、不動産の転売はサンクチュアリではありません。宅建免許を掲げている不動産業者であれば売主なのか仲介なのか分かりませんが、一度は転売に関わった事があるはずです。

 

 

転売を定義づけるとすれば「買ってチョロっと所有して売ること」です。

この「チョロっと所有して」がミソです。私が聞いた中で最速である「チョロっと」は0分です。中間省略登記という手法を使った転売です。

 

中巻省略登記(ちゅうかんしょうりゃくとうき)とは、不動産登記において、物権が順次移転した場合に、中間者への登記を省略し、後に物権を取得した者へ直接登記を移転すること、およびその登記のことである。主に、登録免許税や不動産取得税などを節約するために用いられる。

参照:Wikipedia「中間省略登記」

 

以前は最高裁判所でも一定の要件をクリアすることを条件に認められていました。現在では不動産登記法の改正によりこの中間省略登記は事実上認められていません。しかし新たに中間省略登記に変わる「第三者のためにする契約」というものが制定されました。話が難しくなりそうなので詳細には触れません。念のためリンクを下記に貼っておきます。

 

参照:公益財団法人 不動産流通推進センター「第三者のためにする契約

 

 

まさかの0分にはビックリしましたが、もっとビックリするのはそのたった1回の転売で数億円の利益が出たと言っていました。売上ではありません。利益です。私が数億円の利益を稼ぐには数億年かかりそうです。地球の寿命はあと17.5億年あるようですので、なんとかなりそうです。

 

 

何わともあれ、その人は転売により「秒速で〇〇億円を稼いだ」のです。どこかで聞いたことのあるセリフですね。

 


 

私もデベロッパー時代に直接的にではありませんが、転売に関わったことは何度かあります。

 

 

とある地方の駅前の更地を購入し、ビジネスホテルを建築し、ビジネスホテルのオペレーターに1棟まるごと貸賃貸する計画でした。そのオペレーターの賃料を基にした表面利回りが確か7%くらいあれば、ホテル専門のファンドなどが購入する時代でした。当然表面7%で売却しても利益が確保できる計画でした。

 

ビジネスホテルの廊下

 

オペレーターとの賃料交渉も終わり賃貸借の予約契約を締結しようと思っていた矢先、上司が

「あの土地、買いたいっていう会社があるから更地のまま売ることにした!」

と着々と計画を実行に移している私に対して投げかけてきました。これが人間のすることでしょうか。

つい、

 

 

「あんたはアホか!」

 

 

と口走ってしまいましたが、聞こえていなかったのでセーフです。

「売ると言ってももう計画が進んでますけど、どうすればいいんですか?」

 

 

「謝っといてくれ!」

 

 

そんな原始的な解決法で済むのでしたら警察はいりません。確かに賃貸借の予約契約すら締結していない状況でしたのでどうにでもなる状況と言えば状況でしたが、私は人間としての道理を外したくはなかったので、全部上司のせいにしました。そして、「実はここよりも良い土地を持ってますので、そちらを検討していただけませんか?」とアフターフォローも忘れません。

 

 

ちなみに、同様の経験がこの他に2回、合計で3回あります。その中の1回は特にヒドイです。

 

 

仙台でこれまたビジネスホテルの計画があり、9時に東京の本社に出勤して10時ごろの新幹線に乗り仙台支店に向かいました。そして仙台支店でその物件について打ち合わせをしていると、「名古屋の会社がその土地を買いたいといってるから今から名古屋に飛んでくれ!」と上司から電話が。

 

「また、やつか…。」

 

 

1時間後には仙台空港から名古屋のセントレア空港へ飛んでました。プロペラ機でした。ただでさえ飛行機が得意ではない私にプロペラ機です。お礼の言葉も見つかりません。これも全部やつのせいです。

 

そして名古屋で購入を検討している会社から買付証明書を無事にもらい、新幹線「のぞみ」で東京に帰ろうとしたところ、やつから着信が…

 

 

「博多で転売できそうな土地が出たから、買付証明書を持って所有者に挨拶に行ってくれ!」

 

 

「お前が行けよ!」

電話を切ってから言ったので今回もセーフです。

 

 

その日、私は

 

 

東京⇒仙台⇒名古屋⇒博多

 

 

の4都市を駆け巡りました。

 

 

私の懐かしい思い出話が長くなりましたが、全て土地の転売に関する話です。その当時は不動産市場が青天井でした。転売は不動産市場全体が

 

不動産市場が上り調子

 

の時は確実に儲かります。法人税率(MAX35%)を考慮しても儲かります。最初にも述べましたが転売と聞くと良いイメージが無いと思いますが、不動産業においてはしっかりと確率されたビジネスモデルです。

 

転売は「間に入って利益を抜く」のですが、賃貸の仲介だってそうです。売買の仲介だってそうです。マスターリースだってそうです。不動産業は突き詰めれば「中抜きビジネス」なのです。

 

 

それにしても、ビジネスホテルの案件を最後までやり切れなかったことが心残りです。人生で初めて「お金に目がくらむ」という言葉を心の底から理解した瞬間でした。

 

 

まーこれが「現実」ってやつですわ。

 

 

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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