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2017.12.04   2020.07.12

投資対象は道路や橋?「インフラファンド」って何だ?

太陽光発電

インフラファンドってご存知ですか。

 

 

私はインフラファンドというものがあることは知っていましたが、そこで終わっていました。「お名前は以前より伺っていますが初めましてですよね!?」状態です。だって「インフラ」っていう言葉を聞いただけで絶対難しいに決まってるじゃないですか。私の中はアンタッチャブルなものだと勝手に思い込んでいました。

 

 

しかし先日、ふとインフラファンドの記事を目にしました。パッと読みました。そうしたら東京証券取引所にインフラファンド市場という専門の市場がある事を知り、とてもビックリしました。時代はドンドン進んでいきます。

 

 

そして次にビックリしたのが、読んでみたらそれほど難しくなかったのですインフラファンドの仕組みはREITの仕組みとほぼ同様です。「多くの投資家から資金を集め、それをインフラ施設に投資し、その投資対象から生じる利益を投資家に分配する」というものです。

 

参照:日本取引所グループ「インフラファンド

 

そしてインフラ施設と言えば「道路」「橋」「電車」etcですよね。私だけですかね。なので、最初は「道路や橋なんかに投資しているファンドかな?」と思ってました。しかし、現状は違いました。現在上場しているインフラファンドの投資施設は全て「太陽光発電施設」です。ここで私は思いました。「REITと同じということは、太陽光地発電施設を賃貸して利益を上げているのか?」と。この推論は正しかったようです。しかし、やはりREITと異なる点もありましたので、少し詳しくみていきます。

目次

1.利益の源泉

太陽光発電施設を太陽光発電のオペレーターに賃貸することによって収益を得ています。オペレーターの利益の源泉は発電した電力を電力会社に売電することにより生まれる売電収入です。この売電収入が非常に安定的な臭なのです。

 

 

国の「固定価格買取制度」という制度により、電力会社が20年の間、固定価格にて電力を買い取ってくれます。年々売電価格は引き下げられていますが(2012年:40円/kwh⇒2017年:21円/kwh)、導入時の売電価格で20年間買い取ってくれますので、途中で収益が変更することはまずありません。発電量の増減により収入が増減することはありますが。2012年に導入していれば、そこから20年間は「40円/kwh」で買い取ってくれるのです。

 

出典:資源エネルギー庁ウェブサイト「固定価格買取制度

 

 

REITであれば所有不動産のテナントのが退去してしまうと、収入が減少します。景気の動向の影響を受けやすいです。他方インフラファンドの場合にはオペレーターの事業如何がファンドの収入に影響しますが、固定価格で買取が約束されていますので景気の影響は基本的には受けません。「どの程度の日照があるのか?」という点のみがオペレータの収入に影響を及ぼすと言っても過言ではないでしょう。

2.利回り

現在3銘柄ありますが、2017年11月10日現在で、

 

 

タカラレーベン・インフラ投資法人(9281):6.54%

いちごグリーンインフラ投資法人(9282):6.03%

日本再生可能エネルギーインフラ投資法人(9283):6.65%

 

 

と3銘柄とも非常に高利回りの投資商品となっています。2015年4月に新設された市場であるためまだまだ投資家への浸透度が低いことが高利回りを生み出している一番の理由です。なので、今後投資家に知名度が浸透していけば利回りが徐々に低下していくことは十分に考えられます。

 

 

ちなみに全REIT銘柄の平均利回りは4.3%です(2017年11月19日現在)。REITの利回りもインフラファンドには及びません。しかし、勘違いしないでください。他の投資商品と比較すればREITの利回りは破格です。高利回りです。更にその上を行くインフラファンドの利回りが高すぎると言ってよいでしょう。

3.リスク

3-1.新規資産取得によるファンドの規模拡大が限定的

新規資産の取得するとどうしても利回りが低下します。売電価格が年々低下していることにより、いま固定価格買取制度を導入しても2012年当初よりも売電による収益は低下してしまいます。新規資産は必然的に利回りの低い資産となってしまうのです。もちろん、同量の発電量をより安価な設備投資で生み出すことができるようになれば利回りの低下は避けられますが、現状で劇的な投資資金の減少が見込めるかと言えば疑問符がつかざるを得ません。今後も売電価格が下落傾向であることを考えると、資産取得による外部成長は限定的です。

3-2.20年経過以降が不透明

運用開始から20年経過以降は通常の法人税が課せられます。インフラファンドもREITと同じく利益の90%以上を配当に回すことによって実質的に法人税が課せられないのですが(導管性)、20年経過以降はこの導管性は適用されません。時限的な制度となっていますので、今後の国の方針次第という曖昧さが払しょくできません。

3-3.インフレに対応できない

売電価格が固定されているので、インフレが生じても収入に変化はありません。しかし、インフレが起こると経費は増加する恐れが高い。つまり「経費の増加を収入で補う事がそもそも不可」という特徴を持っています。REITの場合にはインフレが起きれば賃料の増額請求などで対応できますが、インフラファンドの場合にはそのような対応が出来ません。

3.まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

  • 利益の源泉
  • 利回り
  • リスク

 

上記3点を理解していただければ、インフラファンドの全体像が把握できるのではないでしょうか。

 

 

現在の不動産市場が軟調なことによりREITにもマイナスの影響が出ています。物件の高止まりによる取得資産の利回りの低下やそれに伴い投資口価格の下落などです。REITにおいては調整局面を迎えることは間違いないでしょう。もしかすると暴落という危険性さえあります。

 

 

まだまだ知名度は低いですが、REITに代わる高利回り商品としてのインフラファンドに今後は注目が集まることは間違いないと思います。しかし、まだ上場銘柄が3銘柄しかないので投資家としても投資しづらいですよね。今後も新たなインフラファンドが上場してくれることを期待しています。

 

 

最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。


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