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2017.12.30   2020.07.12

これを読めば問題ナシ!事故物件のあれこれをまとめてみた!

事故物件

事故物件とは、何らかの原因で居住者死亡の経歴がある物件の総称です。病死などの自然死が起きたとしても事故物件には含まれませんが、発見時期が遅れた場合には事故物件となることがあります。現在のところ、「事故物件とは○○だ!」という明確な定義はありません。もちろん、世間を賑わせた殺人事件や重大な事故が起きた物件を事故物件と呼ぶことに異論はありませんが。

 

 

この事故物件、不動産情報サイトでは物件詳細欄のどこかに「告知事項あり」「心理的瑕疵あり」などと記載されています。「心理的瑕疵(しんりてきかし)」は難しい言葉ですが、ようは「生理的に無理!」というイメージです。物件自体に物理的な問題があるわけではありませんが、その事を事前に知っていたら契約はしなかった事を言います。具体例としてよく挙げられるのは、物件の周辺に「○○団の事務所がある」「火葬場がある」「工場がある」などです。

 

 

このように事故物件は不動産情報サイトなどではカンタンな言葉で表されています。「クサい物には蓋をしろ!」ではないですが、オーナーとしては出来る限り隠したいというのが本音でしょう。「事故から何年間告知義務があるのか?」「孤独死は事故物件に含まれるのか?」など皆さんの求めている情報は表に出てきません。

 

 

そこで今回は、事故物件において皆さんが知りたいであろう情報をまとめてみました。「えっ、そーなの!?」と思われるような内容もありますので、ぜひ読んでみてください。

目次

1.事故物件の告知義務に関する法律や規定はありません!

まず最初に皆さんにお伝えしたいのは「事故物件は〇年間告知する必要あり」などのルールやガイドラインは存在しない、という事です。宅建業法で決められているとか表示規約(不動産の表示に関する公正競争規約)で定められているという事は全くありません。何もないのです。

 

 

なので、現場は混乱するのです。「この場合は○○、あの場合は△△」と決められないので、例え事故物件を取り扱う事になったとしても曖昧なまま取り扱う事になるのです。「よく分からないから普通の物件と同じく扱っちゃえ!」という判断も一方的に責められるものではありません。なんせ明確な判断基準が無いんですからね。

 

 

唯一の救いは、これまで裁判所が取り扱ってきた事故物件に関する判決(以下「判例」)が判断の拠り所になる、という事でしょうか。これから下記に記載していく内容も主に判例を基準にしています。判例が蓄積されていくことによって判断基準の形が見え始めてきています。

2.「賃貸の場合は事故から2年間」告知義務が発生する

この告知義務の継続期間も判例が示したものです。例えば自殺のあった住居においては「自殺から2年間」はその物件の賃借希望者に自殺の事実を伝えなければいけません。実際の判例において、1年数か月前の自殺に関しては信義則上の告知義務を認めています。「その事実を知ったならば建物を賃借して居住することを困難にする可能性が高い」という事が理由です。

 

 

前提条件として、事故物件の賃貸人が自殺の事実を知っていることが必要です。賃貸人すら事故物件であることを知らない場合にはそもそも告知義務は発生しません。「具体的に賃貸人が事故物件であることを知らない場合とはどのような場合なのか?」と言われても困りますけど。そんな場合あるんですかね。。。

 

 

この「2年間」という判断基準、都市部と農村部でも異なります。都市部のワンルームのような入居回転率の早い物件では適当な期間であると思いますが、人口が少なく人の入れ替わりもほとんどないような地域においては、事件の記憶はより長く残るはずです。それこそ「10年」程度の判例が登場したとしても不思議ではありません。「2年間」という期間は都心部の入居回転率の早いワンルームという場合のものですので。

 

 

ちなみに、売買の場合は10年後でも告知義務ありとした判例もあります。50年以上前に起きた非常に凄惨な殺人事件の現場となった物件において告知義務ありとした判例も存在します。

 

 

「賃貸なのか売買なのか」「事件のインパクトの大きさ」によって告知義務の期間は大幅に差があるという認識を持っておいてください。

3.2人目以降の入居者及び隣接する住居の入居者への告知義務はない

告知義務は事故後最初の入居者にのみ必要です。それ以降の入居者に関しては告知義務はない、というのが判例です。「特段の事情がない限り」という条件は付いていますが、恐らく前入居者が短期で退去したなどの事情が無い限りは2人目以降の入居者に対しては告知義務はありません。

 

 

この判例を悪用し、事故物件にいったん自社の社員やアルバイトを入居させて告知義務を消滅させ普通の物件として市場に出すことをする悪徳不動産業者も存在しているようです。事故物件よりもタチが悪いですね。

 

 

また事故物件に隣接する住居の入居者にも告知義務はありません。たまたま事故物件の隣にあっただけなので告知義務がないという事に異論はないのですが、事故物件の隣の部屋っていうのも背筋がゾクゾクしませんか。私はムリかもしれません

4.「孤独死のあった物件=事故物件」ではない

孤独死は「自然死」と扱われますので、原則的に事故物件とは扱いません。しかし、例外として孤独死後の発見が遅れ「異臭・腐敗」などにより物件に物理的影響が生じた場合には事故物件扱いになることが多いです。確かに物件自体に何らかの影響が出てしまった場合には、借りる方としても事情を聞いておきたいですよね。

 

 

この「死後の発見の遅れ」、おおよそ死後3日後以降に発見された場合を言っている場合が多いです。私には詳しい事は分かりませんが、部屋の温度などにより腐敗の進み方も違うと思いますので、あくまで目安の1つとお考え下さい。

5.告知義務違反には「契約解除」「損害賠償請求」が可能です

不動産業者には物件の重要事項について説明義務があります。(宅建業法第47条1号)。物件資料をもらう際や内覧の際に「この物件において自殺などの事故はありましたか?」と不動産業者に問い合わせれば、不動産業者は調べなければいけません。調べることを拒否したら不動産業者は罰せられます。

 

 

また解約の解除や損害賠償を請求することも可能です。「事故物件かどうかなんてどうせ分からないから黙っておこう!」なんていう考えは通用しないのです。この記事をお読みいただき今後物件を探される予定の方がいらっしゃったら「この物件は事故物件ではありませんか?」という一言を必ず言うようにしましょう。そうすれば、望まない事故物件に住む確率は限りなく0に近づくはずです。

6.事故物件は売買でも賃貸でも相場価格より安い!

おおよそ相場価格よりも3割減程度になるようです。売買でも賃貸でも同様です。3,000万円の住居であったら2,100万円程度。家賃が10万円の賃貸マンションであったら7万円程度まで下がるようです。この安さを求めて事故物件に関わらず購入・賃貸する人もいるくらいですから。私は………です。

 

 

さらに、全国的にトップニュースとして放送されるような事件の場合には半値以下になることもあるようです。そうしないと売れないというのが本音でしょう。遺族としても事故があった物件は手放したいのが本音のはず。「売れる価格で売ってしまいたい」という思いは良く分かります。事件事故は出来る限り早く忘れたいですよね。

7.まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

 

自分の住んでいる物件が実は事故物件であった、などの恐怖体験は後を絶ちません。事故物件の取り扱いに関するガイドラインなどが決まっていない為、例え上記のような状況になったとしてもオーナーや仲介業者を一方的に責めることは出来ません。もどかしいと言えばもどかしい状況ですよね。

 

 

今のところガイドラインが策定されるという動きは見られませんので、当分の間は裁判所の判例の蓄積による判断になるかと思います。しかし借りる側としては、可能な限り早急なガイドラインなりの策定を望みます。オーナーや仲介業者によって運用方法が変わるということは「不安」以外のなにものでもありませんからね。

 

 

最後までお読み頂きましてありがとうございました。


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