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2018.08.03   2020.06.15

超キケン!普通借家から定期借家への切り替えはするべきではありません!

賃貸借契約の特約

賃貸マンションでは、2年に1度”契約の更新”を行うのが一般的です。「今後もこの物件に住みますか?」という意思確認を行います。契約更新の際には更新料を支払う事が多いですが、この更新料の支払い有無には地域差があります。なんと、更新料を支払わなくて良い地域が存在するのです。神奈川県では9割以上の物件で更新料の徴収が行われますが、福岡県では2割ちょっとしか行われない、という具合です。

関連記事:賃貸の更新料は近い将来確実に無くなります!

今回は更新料に関する記事ではありません。なので、更新料に関するお話はここまでです。今回の本題は、

契約更新の際に、普通借家契約から定期借家契約への切り替えを求められた場合にはどうすればよいのか?

です。これに関しては答えは明白でありカンタンです。

断固拒否

して下さい。理由は”普通借家契約”と”定期借家契約”の違いを理解することにより自ずと分かります。

詳しくは、借地権の歴史についての記事も読んでいただくと分かりやすいと思います。

ぜひ参考にしてください。

歴史を紐解くと借地権は簡単に理解できます!

普通借家契約と定期借家契約の決定的な違いは、

普通借家契約:借主保護に重点が置かれている

定期借家契約:貸主保護に重点が置かれている

です。今からとても重要なことを言います。普通借家契約から定期借家契約へ切り替えを行った場合、借主にとってはデメリットになります。デメリットばかりであり、メリットはありません。

そもそも定期借家契約が誕生したのは、”普通借家契約における強すぎる借家人の地位”を是正する為です。日本の借地借家法においては、借家人の力は絶大です。借家人に退去をしてもらうには、オーナー側に正当事由がないとダメなのです。例え、契約時に2年間の期限を設けていても、それが普通借家契約である場合には2年経過後もオーナー側に正当事由がないと退去をしてもらえません。訴訟を起こしても結果は同じです。普通借家契約において期限を決めることは無意味に等しいのです。

この圧倒的な借家人のパワーは以前から問題になっていました。「なぜこれほどまでに借家人が保護されるのか」「オーナーももう少し法律により保護されてもよいのではないか」と。その後、様々な議論を経て、オーナーを保護する目的で定期借家契約が創設されました。

定期借家契約はその名の通り、”契約時に設定した期限が到来したら確実に退去しなければいけない”契約です。2年と決めたら2年で出ていかなければいけないのです。例えば、今後建て替えを予定しているマンションにおいて数年間だけ賃貸で運用したい場合には、定期借家契約で貸し出せばよいのです。普通借家契約で貸し出してしまうと、退去の際に立ち退き料などの問題が発生する可能性がありますので。。。

ここまでの話をまとめます。もし、賃貸借契約を

普通契約⇒定期契約

に切り替えてしまった場合には、定められた期間で間違いなく出ていかなければいけないのです。もちろん、オーナー側との交渉により”同じ部屋を再契約する”という方法は残されていますが、オーナー側が定期借家契約を持ち出してきたのであれば、

数年後には出て行ってもらいたい、という意思表示

と捉えてよいでしょう。ずっと借りていて欲しい物件をわざわざ定期借家契約に切り替える必要はありません。「今後何が起こるか分からない」という意味で”念のための切り替え”という考え方はあるとは思いますが、いずれにしろ定期借家契約への切り替えは借家人にとっては良い話ではありません

私も現在賃貸マンションに住んでいます。もし、定期借家契約への切り替えを求められた場合には、断固拒否するでしょう。子供もまだ小さいので、生活の拠点である住居を代えるというのはリスクが高いです。

関連記事:引っ越しのタイミングを最適化するには?

普通⇒定期への切り替えを求められることはそれほど多くはありません。しかし、例えば賃貸マンションのオーナーが代わり、その新たなオーナーが将来的に建て替えを考えている場合には、定期借家契約への変更を求めてくる場合もあります。そのような場合に当記事が皆様のお役に立てれば幸いです。

最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

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