近年、レンタル倉庫へのニーズが拡大し、低リスクで高利回りが期待できるとしてレンタル倉庫への不動産投資が大きな注目を集めています。
そこで、レンタル倉庫の市場規模の推移と将来性、レンタル倉庫の需要が高まっている理由、レンタル倉庫に投資するメリット(魅力)・デメリット(注意点)などについて紹介します。
レンタル倉庫とは?トランクルームとの違いも解説!
レンタル倉庫とは、家庭やオフィスに置けないさまざまな荷物を保管できる外部倉庫のことです。
貸し倉庫やトランクルームとも呼ばれます。レンタル倉庫は1931年に企業向けとして始まり、その後、個人での利用ニーズが発生します。しかし、企業向けのレンタル倉庫が賃貸契約であったため、一般個人が利用するとトラブルが発生したことから、その防止のために1981年にトランクルームに関する規定が倉庫業法で定められました。
従って、法律上はレンタル倉庫とトランクルームには厳密な違いがあります。
ただし、名称については法律で規定されていないため、レンタル倉庫であってもトランクルームと呼称でき、その逆も問題なく可能です。また、レンタル倉庫を設置場所で分けると、屋外型(コンテナ式)と屋内型(ビルイン式)の2種類があります。
それぞれの特徴・主な違いは以下の表のとおりです。
法律上の違い
レンタル倉庫 |
トランクルーム | |
契約形態 |
賃貸契約 (保管スペースを借りる契約) |
寄託契約 (荷物を預ける契約) |
特徴・主な違い |
・荷物の出し入れは、いつでも自由にできる ・保管中の荷物に対する保障なし ・経営は誰でも可能 |
・荷物の出し入れは、事業者の営業時間内に事業者の立ち会いが必要 ・保管中の荷物に対する保障あり ・経営するには国土交通省に営業倉庫の登録が必要。 |
設置場所(環境)による違い
屋外型(コンテナ式) |
屋内型(ビルイン式) | |
特徴・主な違い |
・設置場所は郊外が多い ・空調設備はないのが一般的 ・コンテナをそのまま使っていることから利用料は安い ・利用できるスペースは屋内型(ビルイン式)より広い ・高温・多湿になるため保管する荷物に制限が生じる |
・設置場所は主に都心部のビル内 ・空調設備があるのが一般的 ・利用料は屋外型(コンテナ式)に比べると高い ・利用できるスペースは狭い ・保管できる荷物に制限はないが、大型の荷物は利用料が高額になる。また、スペースによっては保管できない可能性がある |
レンタル倉庫の市場規模の推移と市場が拡大している理由
レンタル倉庫市場規模と市場が将来も拡大していく主な3つの理由を紹介します。
レンタル倉庫の市場規模と将来予測
矢野経済研究所の報告によると、レンタル倉庫などの収納サービスの市場規模は2013年の520億円から2018年度は743億円へと1.43倍(年率で約9%の伸び)に拡大、2020年度の予測は829億円(2013年の1.59倍)です。
また、収納サービスを提供している株式会社キュラーズは、認知度が上がり、より便利なサービスの増加などで2025年度には1,000億円の市場規模になると予測しています。
レンタル倉庫市場が拡大していく理由
断捨離や終活などがブームになって不用品や将来、不要になる荷物を早期に処分しようとする傾向が強まっていますが、それでも以下の理由によりレンタル倉庫市場は拡大していくと予測されています。
住宅の居住スペース(収納スペース)の狭さに対する不満が多い
マンション・戸建て住宅に住む世帯が感じている不満の1位(約29%)が収納スペースの不足(株式会社リクルートが運営する「SUUMO」の調査結果)です。
また、大和ハウス工業株式会社は、賃貸住宅に住む世帯が収納スペースに不足を感じていることから、物件とは別の場所に荷物を預けて必要なときに届けるレンタル倉庫を活用した「クラウド収納サービス」を同社の賃貸物件向けに提供しています。
巨大化する自然災害に対する貴重品や重要な資産のリスク回避・ニーズの増大
近年、自然災害の巨大化と増加は著しく、災害にあったときに心配なこととして、ディプロマット・ジャパン株式会社の調査結果によると人命や生活の不便さとともに、「貴重品や思い出の品の紛失」を3人に1人(約32%)があげています。
また、中小企業庁は自然災害、テロ、新型コロナウイルスなどによる集団感染など企業の経営に重大な影響を与えるリスクに対してBCP(事業継続計画)を作成することを経営指導員に要請しています。
BCPでは、企業にとって重要なデータや文書を企業とは別の保管場所に分散して保存することが求められます。
欧米の国に比べてレンタル倉庫の普及率が低い
株式会社ユーザベース によると、日本のレンタル倉庫の普及率は以下の表のとおりです。欧米やオセアニア諸国と比べ、普及率はアメリカの20分の1、イギリスの5分の1と低い数字です。
国の違いによって住居の大きさや使用する家具などの生活用品のサイズ、荷物を大切に持ち続ける国民性などが異なることから、単純に比較できませんが、日本の普及率(利用率)は、今後、欧米並みにまで上昇する可能性があります。
株式会社ユーザベース によると、日本のレンタル倉庫の普及率は以下の表のとおりです。
欧米やオセアニア諸国と比べ、普及率はアメリカの20分の1、イギリスの5分の1と低い数字です。国の違いによって住居の大きさや使用する家具などの生活用品のサイズ、荷物を大切に持ち続ける国民性などが異なることから、単純に比較できませんが、日本の普及率(利用率)は、今後、欧米並みにまで上昇する可能性があります。
国名 |
普及率 |
アメリカ |
10% |
カナダ |
4% |
オーストラリア/ニュージーランド |
4% |
イギリス |
1% |
日本 |
0.2% |
レンタル倉庫への不動産投資のメリット(魅力)とデメリット(注意点)
投資を行う際に押さえておくべき重要なメリット(魅力)とデメリット(注意点)について紹介します。
メリット(魅力)について
利回りが高い
地域やレンタル倉庫の経営方式によって異なりますが、レンタル倉庫投資の実質利回りは、15%から20%前後と一般的に言われています。
同じ不動産投資であるアパート・マンションの場合、一般財団法人 日本不動産研究所が2019年10月に発表した全国の主な政令都市における賃貸住宅一棟(ワンルームタイプ)への投資家が期待する利回りは4%から6%です。
利回りが高い理由は、市場が拡大していることから競合も少なく賃貸料・稼働率がともに高いこと、および投資金額・土地の単位あたりの広さに対してアパートやマンション投資よりも賃貸に回せるスペースが多くとれ、収入単位となる1区画も小さいため、単位面積あたりの収入効率が高いからです。
関連記事:【実録】コインランドリー経営の実態!利回り15%は真っ赤なウソ!
利益を出しやすく投資金額の早期回収が可能
レンタル倉庫投資の初期投資金額が低くて済むのは、アパートやマンションほどの建築費も土地の広さも不要なためです。また、建物や設備の老朽化に対する修理費や修繕費がアパートやマンションよりも低額で済みます。そのため、投資金額の早期回収が可能で、ランニング費用も大きくないため、利益を出しやすい経営が可能です。
住居用賃貸物件に不向きな土地でも有効活用が可能
アパートやマンション投資では、空き室リスクを抑えるには立地が重要で、ある程度の広さのある土地が必要です。しかし、レンタル倉庫では立地や土地の広さに対する制限は、アパートやマンション投資ほど厳しくないため、有効に活用できます。
空き室のリスクが小さく安定した収入が期待できる
アパートやマンション投資では、住居人同士によるトラブルや事件・事故によって空室リスクが生じますが、レンタル倉庫では人的なトラブルは生じません。また、春や秋の転勤シーズンなど退去がピークになる時期もないことから利用が激減する可能性も大きくありません。また、継続期間も長く、空き室リスクも小さく安定した収入が長期間にわたって期待できます。
建物・設備の老朽化に対する収入低下の影響が小さい
アパート・マンション投資では老朽化に伴って空き室が多くなります。空き室を防ぎ稼働率を上げるには賃貸料を下げるなどの対策が必要です。しかし、レンタル倉庫投資の場合、老朽化による空き室防止のために利用料を下げなければならない可能性は起こりにくく、また老朽化で利用料を下げるときもアパート・マンションより小さくて済むでしょう。
デメリット(注意点)について
地域によっては新規参入者が多く価格競争で収入が低下する
レンタル倉庫投資にはメリットが多いため、地域によっては新規参入者が増え、レンタル倉庫の市場拡大よりも供給が過多となって収入が低下するリスクがあります。
普及率が低いことから集客が難しく稼働率が上がらない・時間がかかる
レンタル倉庫の普及率が低く、多くの人に認知されていないことから、集客に時間がかかって稼働率がなかなか上がらないリスクがあります。
税制面の優遇が少ない
アパートやマンション投資では、土地や建物の固定資産税や土地計画税が軽減されるメリットがありますが、レンタル倉庫にはありません。
普及率が欧米の国ほど高くならない
現在の住居に収納スペースが少ないという不満があったとしても、費用を払って収納スペースを借りる意識が日本人に広まらないと、欧米ほどレンタル倉庫が普及しない可能性があります。その場合、市場の伸びが早期に鈍化するリスクがあります。
市場ニーズと合わないレンタル倉庫投資では稼働率が上がらない
アパートやマンション投資でも同じですが、競合が少ないからといって十分な調査をしないで投資すると、市場ニーズと合わずにニーズがあるにもかかわらず稼働率が上がらないリスクが生じます。
説明不足によるクレームが発生する
レンタル倉庫とトランクルームの法律上の違いに対する認識のなさや、レンタル倉庫の環境や設備によって高温、結露、カビなどで預けた荷物に劣化が生じるため、利用者への事前の説明が不足するとクレームが起きるリスクがあります。
レンタル倉庫(トランクルーム)に不動産投資についてメリット・デメリットのまとめ
不動産投資として高利回りで投資リスクが小さいレンタル倉庫への投資について、そのメリットやデメリットについて紹介しました。
アパートやマンション投資には不向きな土地で活用できない、あるいは投資金額が不足して投資できる余力がない、また投資金額の回収見込みが長期間のためリスクが高く投資に踏み切れないと、もし考えているならば、レンタル倉庫への投資は最適な不動産投資であるため、検討することをおすすめします。
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