配偶者は、相続開始時に被相続人の建物(居住建物)に無償で住んでいた場合には、
- 配偶者が居住建物の遺産分割に関与するときは、居住建物の帰属が確定する日までの間(ただし、最低6か月間は保障)
- 居住建物が第三者に遺贈された場合や、配偶者が相続放棄をした場合には居住建物の所有者から消滅請求を受けてから6か月
上記が配偶者短期居住権です。なぜこのような新制度が出来たのかと言えば、現行制度に問題があったからに他なりません。現行制度では、例えば、
夫が亡くなった際に妻が夫名義の自宅に住んでいた場合
には、夫婦間で使用貸借契約が成立すると推認して配偶者の保護を図るとしています。
ちょっと分かりづらいですよね。。。使用貸借をカンタンに言うと「無償で使っていいよ」という事なので、
- 夫が亡くなった場合には
- 夫と妻の間で
- 妻が夫名義の自宅に無償で住んでよいという契約が
- 成立していると推測する
言い換えてみましたが、分かりやすくなっているのかどうかには不安しかありません。ご容赦下さい。上記のように使用貸借を推測して配偶者を保護していましたが、下記のような場合には問題が生じます。
- 自宅が第三者の遺贈された場合
- 夫が反対の意思表示をした場合
夫が遺言などで「妻には自宅を使わせない」などの意思表示をした場合には、残された妻は自宅から出ていかなければいけないのです。使用貸借関係が推認されないのです。夫婦関係に何かがあったことが推測されますが、いきなり「出ていけ!」と言われても困ります。出ていくにしても準備期間が必要です。このように現行制度では夫の意思によって妻の生活の場が奪われる可能性があるのです。
その準備期間を制度面から保証したものが、配偶者短期居住権なのです。つまり、
夫が夫名義の自宅を妻以外に遺贈した場合、または妻が自宅に居住することに反対の意思表示をした場合であっても、夫名義の自宅に妻が居住していた場合には最低でも6か月間は妻の居住が保護される
という事になります。
一緒に住んでいたのに夫が妻の居住を拒否するというシチュエーションがイマイチ理解できませんが、大人の事情というものなのでしょうか。私がまだまだ経験不足なだけかもしれません。しかし、制度化されるという事は、裏を返せば、このような状況に遭遇し困窮してしまう配偶者が多数いらっしゃると言えるのではないでしょうか。
法律はどうしても後追いになってしまいます。問題が生じたので法律を制定して対応するという事の繰り返しによって今の法律が出来上がっています。今回の相続法の改正は約40年振りという事ですが、法律が後追いと言ってもちょっと遅すぎる気がするのは私だけでは無いはずです。法律でがんじがらめにしてしまうと行動の委縮を引き起こしてしまうので問題ですが、もう少し迅速な対応が必要なのでは、と感じる今日この頃。
政治家にでもなろうかなーーーーーーーーーー
最後までお読み頂きまして、有難うございました。