不動産の囲い込みとは、売主から預かった大切な物件情報を適切に公開せず、また他の宅建業者からの問い合わせがあっても応じないことを言います。この囲い込みは昔から問題のある行為であるという認識が不動産業界内でありました。囲い込みによって物件情報が適切に拡販せず、売主の売却機会損失につながるというのが主な理由です。
ではなぜ囲い込みが行われるのか。それは物件を囲い込むことによって、手数料が増える可能性が高まるからです。ようは「お金」です。別の仲介業者に買主を探すよう依頼をすれば手数料は売主側からしかもらえませんが、自ら買主を探し出せば売主買主の両者から手数料がもらえます。儲かるから囲い込みが行われるのです。
この囲い込みに関しては、様々な識者の方々が色々な主張や提案をされています。
「囲い込みを無くすにはまずは両手仲介の禁止から」
「民法では双方代理は禁止されているが仲介は代理では無いので禁止されていない」
など。正直に言わせていただくと、そこまで難しく考える必要はないのではないでしょうか。日本全国の物件情報が全てオープンになる仕組みの構築こそが、囲い込みに対する最適解であると私は考えます。レインズを改良すれば絶対に可能なはずです。今から具体策を述べさせていただきます。
目次
1.優先弁済
不動産を売りたいお客様と媒介契約を締結した場合、宅地建物取引業法によりレインズへの登録が義務付けられることがあります。(「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」では登録が義務付けられますが、「一般媒介契約」では登録は任意です)
そして決められた期間内に登録を行わなかった場合には、罰則があると思いきや無いのです。何のための義務なのでしょうか。国土交通大臣と都道府県知事が必要な支持をだせるようですが、何の意味があるのかどうか分かりません。加盟団体及びレインズからも処分を受けることがあるみたいですが、弱すぎます。
この際、媒介契約の種類に限らず全物件をレインズに登録することにするべきです。例外があるから抜け道が出来てしまうのです。そして登録を怠った宅建業者への罰則強化。「宅建免許〇〇ヶ月停止」くらい考えないと根本的には変わらないと思います。
2.一般消費者に対する物件情報のオープン化
レインズは宅建協会などの指定団体に入会し宅建免許を有している宅建業者しか閲覧することが出来ません。民間の様々なインターネットサイトが情報をオープンにしているご時世、一部の人間しか閲覧できないシステムなどいずれ利用されなくなります。
ここは、レインズに物件を登録できるのは宅建業者のみだが、誰でも閲覧OKにすればどうでしょうか。媒介契約を締結した売主がレインズに登録されているかどうかを調べるために、登録証明書を宅建業者からもらうなど2度手間3度手間です。折角のペーパーレスが台無しです。一般消費者が誰でも閲覧OKにしておけば何も問題ありません。
あまたのインターネットサイトが情報をオープンにしているので技術的にもセキュリティ的にも何の問題もないでしょう。いつでもどこでも不動産情報が閲覧できるようになれば、不動産の流通が活性化されるでしょう。中古住宅の売買にも役に立つでしょう。
3.自由に仲介業者を選べるシステム
日本では物件ごとに仲介業者が紐づいています。欲しい物件があるならば、その物件を取り扱っている仲介業者と話をしなければいけません。例えその仲介業者がサービスが悪くても、「他の仲介業者に代えてくれ」とは言えない状況です。これ、オカシイと思いませんか。
どうせ仲介手数料を支払うのであれば、しっかりとサービスを提供してくれる仲介業者に払いたいですよね。
なので提案します。物件情報と共にその地域で仲介業務を行える宅建業者さんを自由に選べるようにしましょう。宅建業者さんを「サービス、能力、経験、得意分野」などで一般消費者が評価する仕組みにします。☆5段階で評価するのも良いかもしれません。
そうすれば、仲介業がサービス業に生まれ変わります。怪しい情報産業ではなくなるのです。仲介手数料もいつも上限3%ではなく、業務に応じたものになるかもしれません。色々なことをオープンにすることによって仲介業者のイメージも間違いなく良くなります。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
- 登録義務化&罰則強化
- 情報のオープン化
- 媒介業者の自由に選べるシステム
この3つが達成されれば、囲い込みという概念は無くなります。
ちなみに上記の提案、実はアメリカの「MLS」という不動産情報システムの真似です。言い方を代えると、私の提案というよりは、MLSの仕組みをそっくりそのまま使わせて頂いただけです。
しかし、良く出来ていると思いませんか。さすが、シリコンバレーがあるだけありますよ。マサチューセッツ工科大学もありますからね。amazonもGoogleも然り。素直に感服します。
日本もアメリカにならってレインズをより良くしていかないといけませんね。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。