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2017.10.09   2020.07.13

不動産の売買契約を解除するのに「占いで言われた」は理由になるのか

占い

みなさんは占いは信じますか。

私は全く信じません。

 

「自分の人生は自分で決める」ということを信念としてやっていますので、人に何かを決められることなんてありえません。

 

お正月におみくじを引いて良くない結果だったとしても引き直すことはしません。

「だったら最初からおみくじ引くなよ!」というツッコミ、ありがとうございます。

 

「なぜ引くのか?」と問われればこう答えるでしょう。

 

「そこにおみくじがあるからだ」と。。。

 

 

ではこんな話はどうでしょうか。

ある人が新築戸建ての売買契約を締結しました。

しかし、住宅ローンを背負うことになるので不安でいっぱいでした。

もう不安メーターが180kmを振り切りそうでした。

 

なので誰かに背中を押してもらおうと思い、ネット上でザワザワしている占い師「〇〇の母」に占ってもらう事にしました。

 

不安な人「この家を買う契約をしちゃったんですけど、どうでしょうか?」

〇〇の母(占い師)「止めておきなさい」

 

この返答、考え得る回答の中で最悪度MAXなものでした。

不安な人はこの衝撃的な展開に耐えうるメンタルを持っていません。

 

なので、こう決心しました。

「もう不安に耐えられないから売買契約を解除しよう」と。

 

 

果たして占いで「あの家を買うのを止めなさい」と言われたことを理由に売買契約を解除することは出来るのでしょうか。

 

「占ってもらうなら普通は売買契約の前だろっ!」というお言葉、いつもありがとうございます。

設定上こうするしかありませんでした。ご容赦ください。

新築戸建ての売買契約が白紙解除できる場合

ローン特約」という言葉を聞いたことはありませんか。

 

金融機関や住宅ローン会社からの借り入れを前提として新築住宅などの不動産を購入する場合に、その予定していたローンが不調に終わった際に売買契約を白紙撤回出来るという特約です。

白紙撤回なので、買主が既に支払っている金銭は無利息で売主から返還されます。

 

ローンが不調に終わった場合に買主を保護するための特約です。

このローン特約を利用すれば(ローン特約の要件に当てはまれば)売買契約は白紙撤回可能です。

 

 

また、売主:不動産業者、買主:一般消費者の場合に、

 

「ウソついたり都合の悪い事を話さなかったことにより、一般消費者が事実を誤認した」

「一般常識とはかけ離れた莫大なキャンセル料を請求するなど、契約書の中に一般消費者にとって不利益な条文がある」

 

など一般消費者が明らかに不利益を被る場合には、消費者契約法によって契約の取り消しや契約無効が認められます。

不動産会社と一般消費者の間には知識や情報量に明らかな差がありますので、当然と言えば当然の結果です。

ここまでは何の問題もありません。問題は次です。

 

不動産売買契約

 

占いによる解除は可能なのか

「そんなのムリに決まっているだろ!」そう思われる方は手を挙げてください。

 

外出先でスマホで見ている方は手を挙げないでください。

変な人だと思われる可能性が計り知れません。

 

ちなみに占いによる白紙解除、ムリな話ではありません。

「契約自由の原則」という言葉を聞いたことはありませんか。。

 

契約は当事者の自由に任されています。国家は当事者同士の契約に出来るだけ干渉してはいけないのです。

(※あくまでも「当事者の立場が対等な場合には国家は出来るだけ干渉しない」というものです。借地借家法での「借主保護」など一部の法律によって国家が干渉することがあります。先ほどの「消費者契約法」も一般消費者を保護するために国家が最小限干渉しています。)

 

どんな契約内容にするのか、誰と契約するのか、どのような方式で契約するのか、契約を解消するかどうか

などなどが契約の当事者の自由に任されているのです。

 

ということは、

「占いでこの家を買うなって言われたので白紙解除を認めてもらえませんか?」

「私の母が占い師なのであなたの気持ちは痛いほどわかる。今回は白紙解除でいいよ!」

というように当事者同士で合意が出来るのであれば、占いが理由でも何の問題もありません。

 

あくまで当事者同士の合意に基づくものです。占いが理由の解除に法律の助けはもちろんありません。法律もそこまで甘くはないのです。

 

占いによる解除を許してくれるような心の広さ無限大の偉人が地球上に存在している可能性は限りなく0に近いはず。

 

何はともあれ、契約で一番重要な事は当事者同士の合意です。

契約自由の原則は決して良い事ばかりではない

「自由」と聞くと良い事ばかりを想像してしまいますが、決してそうではありません

 

例えば消費者契約法。

この法律は「事業者と消費者間の力関係の不均衡の是正」を趣旨としたものです。

つまり、消費者同士で契約された内容に関しては一切干渉しません。

 

「お隣さんに騙されて3,000万円もする壺を3個も買っちゃった」と言っても消費者契約法は助けてくれません。

もちろん民法など他の法律が助けてくれることはありますが。。。

 

壺を買う時は1つだけにしておきましょう。

 

 

注意していただきたいのは、個人間で中古不動産の売買を行う時です。

トラブルが発生した際には、その解決の為に時間とお金が掛かります。

 

トラブルは解決するものではない、未然に防ぐものだ!by私

 

個人間売買において、手数料を支払ってでも不動産仲介業者に仲介をしてもらった方が良い場合もあります。

十分に注意してください。

ちなみに手付解除であれば解除理由は何でもOK

最後になりましたが「手付解除」はご存知ですか。

 

中古物件購入のため売買契約を結び手付金を支払いました。この度家庭の事情により契約を解除することとなってしまい、その旨を仲介業者に伝えたところ「手付金は戻ってこない」と言われました。手付金の額も大きいので戻ってこないと困るのですが、なぜ戻ってこないのでしょうか。

 

既に支払っている手付金さえ諦めれば、理由の如何を問わず契約を解除できる、というものです。

「明日はとんこつラーメンが食べたいから契約を解除します」←OKです。

ブログが炎上したから契約を解除します」←もちろんこれもOK。

 

法律的にはOKですが人としてはNGかもしれませんが。。。

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