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2017.10.07   2020.06.27

熊本地方卸売市場が丸ごと「地上げ」されるかもしれません

卸売市場
  • 「熊本地方卸売市場(通報『田崎市場』)」移転を検討
  • LIXILグループのLIXILビバに現施設と敷地を売却
  • 早ければ2019年の移転を目指す

上記のニュースは2016年の8月頃に熊本の地方紙にもデカデカと掲載されました。現在の私の事務所もこの田崎市場の中にあります。

なぜ不動産の会社が市場のなかにあるのか?それは熊本地震以降、小規模なオフィスへの需要が強く私のセンスに合致するオフィスが全然見つからないからです。なので現在は、この田崎市場で30年以上続いている親族の会社の一部を事務所の代わりとして利用させていただいています。

私の話はどーでも良いですよね。本題に戻りましょう。私のプライベートな話が聞きたい方はこっそりと教えますので問い合わせメールで直接問い合わせてください。それにしても

田崎市場まるごと売却⇒そしてそのお金で田崎市場移転

このニュースは熊本県民であれば誰しもが驚愕しました。8年前に熊本県民になった私も驚いたくらいですから、生粋の熊本県民の方々にとっては「100年に1度」の衝撃と言っても過言ではありません。「LIXILグループに売却後移転」と言えば

LIXILグループに売却後移転」という話を普通に解釈すれば「田崎市場さんが移転資金を得るために、LIXILグループに敷地と建物を売却するのか」となりますよね。しかし、私が聞いている話は違います。その反対です。

田崎市場をLIXILさんが地上げしようとしている

つまり、今回の話の主体が異なるのです。田崎市場が移転をしたくてLIXILさんにお願いをしたのではなく、LIXILさんが田崎市場の立地に目を付けて、田崎市場側に「売ってくれ!」と申し入れたのです

上記の話は表に出ていない情報だと思います。私も最初に聞いた時は半信半疑でしたが、新聞にデカデカと掲載されたという事は、私の聞いた話は間違っていなかったという事になります。

鮮魚の卸売市場

※魚市場の中にはたくさんの魚屋さんがテナントとして入居しています(写真はイメージ画像です)

地上げという言葉は皆さんも聞いたことがあると思います。「この土地はオレが購うたるけん、出ていきなっせ!」というやつです。熊本弁と大阪弁が入り混じっていますが気にしないでください。

地上げと聞くと「限りなく黒に近いあれですよね!?」と思われるかもしれませんが、そんな事もありません。住宅メーカーが住宅立地として購入を検討している土地の所有者に「あなたの土地を○○円で売ってくれませんか?」と交渉することも突き詰めれば地上げなのです。

ただ、そのやり方が合法なのか違法なのかの違いだけです。もちろん、違法な地上げは×ですけど…。地上げをする場合は決して警察のお世話にならない方法でしなければいけません。


私が読んだ新聞には、

「LIXIL側が2016年5月に田崎市場側に移転を打診」

と記載をされていました。

んっ!?オカシイです。。。私はそれよりも前から知っていました。恐らく遡ること約半年前くらい…まぁ止めておきましょう。情報が表に出てくる前に根回しされていることは良くある事です。その期間は根回し期間という事なのでしょう。これ以上余計なことを言うべきでない、と私の直感が申しておりますので。

この話は内緒にしておいてください。


ちなみにこの田崎市場、かなり老朽化が目立ちます。ハッキリ言ってボロボロです。

私は最初にこの話を聞いた時「市場にとっては良い話だな」と思いました。今回の件の主体が田崎市場なのかLIXILなのかは別として、老朽化した市場を移転することはデメリットよりもメリットの方が大きいです。あくまで私の聞いた裏情報ですが、LIXIL側が移転先の候補地を用意してくれた上で、さらに移転費用もある程度は面倒をみてくれるという事でした。

「老朽化した市場をどうするのか?」という話は度々登場していました。数年前にも移転の話は出ましたが、その際には費用面などを考慮し静かにお蔵入りとなったようです。

今回はLIXILさんというスーパースポンサー(?)がいますので、費用面の問題はクリアできそうです。老朽化した市場を移転と共に新設すれば、全ての問題が解決します。

では、LIXILさんがこの田崎市場を全部丸ごと購入する場合にはいったいいくらくらいの資金が必要なのでしょうか。ざっくり計算してみましょう。

田崎市場の広さ
5.3万坪
田崎市場の前面道路の路線価
「100F」=約33万円/坪
実勢価格(路線価÷70{9b6a60116f1ce4138cb916d038a564d83dd1a941c3c2e5ff8f9a4f78ff99e0c8}:路線価からおおよその実勢価格を計算する方法)
5.3万坪×33万円÷70{9b6a60116f1ce4138cb916d038a564d83dd1a941c3c2e5ff8f9a4f78ff99e0c8}=約250億円

高っ!!!

あくまで上記は土地代だけです。市場にある建物の金額は含まれていません。そしてLIXILさんは田崎市場を購入すために投入する費用を公表していません。しかし、私が裏情報として聞いている話では

LIXILさんの予算<250億

です。しかもその金額差は結構なものでした。両者の差が埋まるのか心配になるレベルの差です。でも天下のLIXILさんです。いざとなったらポンポン予算が出てくるのかもしれません。。。


ちなみにLIXILさんはこの田崎市場の跡地でホームセンターを核とした街づくりをされる予定だそうです。そして田崎市場は熊本駅からは車で5分です。熊本の中心部からも車で15~20分で着きます。2021年春には熊本駅が改装され、博多や鹿児島にも負けない立派な駅ビルが出来る予定です。

 

さすがLIXILさんです。よくよく考えてみれば、田崎市場は住宅地としては最適な立地です。LIXILさんの話を横に置いておいても、田崎市場周辺では新たな小学校が出来るなど住宅地としての開発が徐々に進みつつある状況です。

新幹線の停車駅でもある熊本駅から車で5分の場所に5.3万坪

新幹線の停車駅でもある熊本駅から車で5分の場所に5.3万坪

そして5.3万坪もあるのに地主さんが少数

地上げするにはもってこいの条件が揃っています。なぜ今までこのような優良立地が不動産業者からあまり相手にされていなかったのかが不思議に思えるくらいです。まぁ市場を丸ごと買い取ろうなんて発想はなかなかできるものじゃありませんけど。。。

あくまで私の個人的な意見ですが、LIXILさんのような先見の明をお持ちの方に市場の移転をお任せしても良いのではないでしょうか。この発想は私には出てきませんでした。パワーをお持ちの方に便乗するのも時に必要であるというのが私の考えです。

賛成と反対に分かれる

田崎市場全体が1つにまとまることが、移転の絶対条件です

ですが、この記事を書いている2017年10月現在、上記構想は完全に断ち切れ状態です。田崎市場は「水産」と「青果」のセリを行う市場です。大小合わせて200以上の事業者がいます。そして「水産」「青果」にそれぞれボスとなる会社が存在します。

私の聞いた話によると、この2つのボス会社が「水産」「青果」それぞれの地権者及び借家人に話をし移転を取りまとめることになっていたようです。しかし、その取りまとめを行っていく上で賛成と反対に真っ二つに分かれてしまってみたいです。おおまかにいうと「青果」は賛成「水産」は反対なのだとか…そもそも「水産」は最初から乗り気でなかったという話もチラホラ…

これ以上はやめておいた方が良さそうですね。関係者の方々の目にこの記事が付かないことを祈っておきます。


地上げは不動産事業を行う上で基礎中の基礎です。私も何度か地上げを経験していますが、まぁ大変です。地権者さんが、昨日と今日では言っていることが180度違うなんてことはザラです。いきなり怒鳴られるなんてことも日常茶飯事です。

怖いお兄さんやおじ様が登場することも当然あります。「このタイミングで登場ですか!?」と肝を冷やしたこともあります。

やっぱり地上げは難しいですね。。。

私の個人的な意見としては、LIXILさんにはぜひ頑張ってもらいたいです。古き良き時代の慣習も必要ですが、時代の流れに合わせた変化も重要です。老朽化した市場が熊本地震でさらにダメージを受けました。そのすぐ後にLIXILさんからの提案です。この今こそが変化の時なのかもしれません。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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