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2017.10.25   2018.04.06

大苦戦!商業施設のリーシング

商業施設のリーシング

サラリーマンとして不動産デベロッパーに勤めていた頃、商業施設のリニューアルを担当していました。

敷地面積約2,000坪、建物も6階建てのとても立派なビルでした。バブル期に同様の商業施設がバンバンできた場所で、時の流れとともに徐々に閉店していってしまったのです。

 

商業施設自体が閉店してしまったので、テナントさんは全くいません。私の勤めていた会社はこの商業施設を大規模に改修してリニューアルさせる予定でした。そして私が担当者に任命されたのです。

 

(これは物件の規模も投資金額も大きいから失敗は出来ないな…)

プレッシャーを日々感じていました。

私の持っているものを全てアウトプットするくらいの覚悟でいました。

ちなみに、まだ25歳だったのでインプットすら終わっていませんでしたが。。。

 

 

商業施設が成功するかどうかは、一般消費者をより多く集められるテナントさんに入居していただけるかどうかにかかっています。

ここは絶対に失敗できませんので、商業施設専門のテナント付けの会社(リーシング会社と言いますが)テナントさんへのヒアリング及び条件交渉をお願いしました。

 

優秀なリーシング会社に業務をお願いすると、私のやることは賃貸借契約書にハンコを押すくらいです。

アポ取りから、物件内覧、条件交渉、入居に際する工事の負担割合の決定など全部やってくれます。

お願いしたのは日本でもリーシングにおいて3本の指に入る会社(以下「A社」)さんでした。

 

 

A社さんは私の担当している物件の規模が大きいということで、複数の担当者を付けてくれました。

皆さんとても仕事ができて人柄も良く、私が余計な事をしなければ勝手にテナントさんが決まっていく状況でした。

若造の私にとって頼りになる先輩のような感じでした。その中のただ1人を除いては。。。

 

 

ある日、そのリーシングをお願いしている会社の担当者さんの1人(以下「Bさん」)から連絡がありました。

「もう一度現地の内覧をさせて頂きたいのですが」というお願いでした。断る理由もないので快諾しましたが、既に何度も現地に足を運んでいるので少し不思議でした。

「テナント希望さんの内覧ですか?」と尋ねたところ、

「いえ、違いまーす。」と軽い感じで返されました。私の心の中のゆとりが無くなり始めました。

 

 

このBさん、私が初対面の時から違和感を感じている人でした。皆さんにもこんな経験ありませんか。話が全くかみ合わない人。聞いている事と回答が日本とブラジルくらい正反対の事をいう人。このプロジェクトを成功させるうえで一番高い壁は「彼」になるかもしれない、と薄々感じていました。

 

 

さらにこのBさん、私に面と向かって「この物件は難しいですね!」とか「何でこんな物件買ったんですか?」とか平気でいう人なんですよ。せめて、

 

「御社くらいの実力と実績が無いと、このような難しい物件を扱う事は不可能です!」とか

「他社が手を出したくても出せなかったこの物件を購入した経緯を勉強の為にぜひ教えてください!」

 

とかオブラートに包む言い方があると思いませんか。

しかし、人を見た目や第一印象で判断してはいけません。仕事をしっかりしていただければ問題はないのです。そこで私は自分の感情をオブラートに包む事にしました。

 

 

そして内覧当日

早めに現地に着いた私は物件の中で待っていました。そうすると遠くから「お待たせしましたー」とBさんの声が聞こえてきました。声が聞こえてきた方向を目をやると、あきらかに様子がオカシイ…。

 

私のもとに向かってくる人が多すぎるのです。総勢10名程度。トラブル臭がプンプンします。

 

(彼のことだ。「驚き」か「笑い」のどちらかを準備してきたと考えるのが妥当だろう)

(まさか、私を驚かせるために「内覧ではありません」と言っておきながら、入居希望のテナントさんを連れてきてくれたのかもしれない)

(ここは社会人のたしなみ「名刺交換」で様子を伺おう)

 

近づいてくるにつれて、団体様の全容が徐々につかめてきました。なぜか全員若い。そして、スーツも着こなしきれていない。馬子にも衣装レベルです(使い方が間違っていたらすいません)。

 

ざわつく自分の心を押さえつけ、名刺を取り出して団体様に挨拶をしようとしたところ、Bさんが突然、

「うちの新入社員達です、宜しくお願いします!」

私「???」

 

意味が分かりませんでした。なぜ新入社員さん達が来たのか、そして事前に私に一言も了解を得ないのか。確かにBさんよりも私の方が一回りは若いはずですが、それでも私の方が業務の発注主です。何かあれば相談するべきでしょ、普通。

 

 

私の錯乱状態などお構いなしにBさんが、

「この物件がうちがリーシングを引き受けている中でも、特に難しい案件です。今日はみんなでどこが難しいのか、何をどう改善すればテナントが付くのかをみんなで一緒に考えてみよう!」

 

ってうちの物件で新人研修かいっ!どんだけ厚かましいんだ、アンタは!

 

 

遂に私もデビューしそうになりました。「キレる社会人」デビューです。大学デビューよりタチが悪いです。デビューは「高校デビュー」がちょうど良いですよ。早からず遅からず。

 

その場にBさんしかいなければ確実にキレていたと思います。キレて訳の分かんない事を言ってもうグチャグチャになっていたでしょう。

しかし、そこには社会人生活に夢と希望を抱いている前途ある新人さんたちがいました。その皆さんの前で無様な姿は見せたくはありませんでした。実際は、

「何あの人キレてんの、ちょっとキモいんだけど」と言われたくなかっただけですが。。。

 

その後の私は、これでもかっていうほど「無言」でした。喋るだけで怒りがこみ上げてくるので、喋らずやり過ごそうとしました。

 

ちなみにこの新人研修、1時間以上続きました。その間私は放置されっ放しです。誰もかまってくれませんでした。ここまで惨めな思いをした経験がなかったので、危うく建物の壁に愚痴をこぼしそうになりました。何とか「無機物との会話」るという一線は超えずに済みましたが。

 

 

そうこう自問自答しているうちに新人研修が終わりました。Bさんがおもむろに、

「今日はありがとうございました。それにしてもなかなかテナントさん決まらないっすね!」

Bさんは遂に超えてはいけないラインを超えました。

 

 

その後どのように会社に戻ったのか覚えていません。覚えているのは、帰社後すぐに私の机にある電話に手を伸ばしたことです。

 

私「御社にリーシングをお願いしている〇〇と言いますが、偉い方いらっしゃいますか?」

電話口の女性「どのようなご用件でしょうか」

 

私「御社の担当者がオモシロ過ぎて仕事になりませんので、担当者を変えて頂きたいのですが?」

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