不動産はとても高額な商品です。少しでも安く買いたいという気持ちは分かります。しかし、残念ですが普通の不動産を安く買う事はほぼ不可能です。もちろん、チョロっと安い不動産なら買えます。だけど、ビックリするくらい安い不動産は買えません。例えば「路線価よりも安い」などはまず無理です。
なぜなのか。答えは簡単です。
アナタは1億円で売れる物件を8,000万円で売りますか。9,000万円で売りますか。9,900万円で売りますか。
1億円で売れるなら1億円でしか売らないでしょう。
このことが全てなのですが、もう少し詳しくお話させて頂きます。
確かに不動産の物件資料を眺めていると「この物件安いな」と思うことはあります。しかし、その5秒後くらいに「ああ、これね」と安い理由に気付きます。そうなんです。安いのには訳があるのです。
目次
1.価格が安いのには「訳」があります
スーパーでもそうです。価格が安い商品にはそれなりの訳があります。「賞味期限が近い」「形が悪い」などなど。ファッションでも季節の変わり目にはsaleをしますよね。夏にダウンジャケットは売れないですからね。では不動産に置き換えると、どうなるのか。
事故物件(自殺、火事などなど)
競売
物件自体に問題あり(接道していない、土壌汚染がある)
売主の特殊事情
etc…
上記以外にも多数あります。これらの不動産は相場よりも安く売りに出さなければ売れません。なので安くなる訳があるのです。言い換えれば、このような訳のない不動産は安く売る必要がないのです。普通の不動産は「相場」で売りに出せば大体売れます。
不動産は非常に高額な商品です。1円でも安く買いたい気持ちは分かります。しかし、安く買える物件は俗にいう訳アリ物件というものです。売主さんの半分が「やさしさ」で出来ている場合には、訳もなく安くしてくれるかもしれませんが。
また、不動産の売買競争の相手は個人だけではありません。資格を持った多数の不動産業者が相手となります。そのような不動産業者さんと個人の一番の違いは何でしょうか。
2.情報量でもネットワークでも不動産業者には勝てません
不動産業者さんのもとには、日々何十件もの不動産物件情報がメールなりFAXなりで送られてきます。また登録した不動産業者さんのみが使用できる「レインズ」という不動産物件情報検索システムがあります。なので不動産の物件情報の「量」でも「質」でも不動産業者さんに及びません。
レインズとは、Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)の略称で、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピュータ・ネットワーク・システムの名称です。
指定流通機構の会員不動産会社が不動産情報を受け取ったり情報提供を行うシステムで、会員間での情報交換がリアルタイムで行われています。
公益財団法人東日本不動産流通機構は通称「東日本レインズ」と呼ばれています。
アナタのもとに回ってくる物件情報は、数多の不動産業者さんの選定から外れた微妙な物件である可能性が大です。もう少し突っ込んで言うと、不動産業者さんのもとにですら、良い物件の資料が届く確率は低いです。何百物件の資料の中に1つ良い物件があれば御の字だと思います。日本全国全ての不動産業者さんがお得な物件を囲っていると思ったら大間違いです。皆さん、物件を集めるのに苦労されてるんですよ。本当に。。。
では、インターネット上に掲載されている物件にお宝物件があると思いますか。
ほぼ100%ありません。インターネット上に掲載されている物件は、インターネットに広告を載せないと売れない物件の集まりです。良い物件は広告をうつ必要がありません。知り合いの仲介業者に声を掛ければあっという間に売買契約締結です。不動産というものは情報も流通も限られた閉鎖的な空間の中で動いているんです。
3.安い物件⇒不動産業者が群がる⇒結局、普通の価格に落ち着く
先ほどの話の延長かもしれません。ごく稀に売主さんが値付けを間違えて相場よりも安い価格で売りに出てくる物件があります。このような物件、一瞬で不動産業者さんが群がります。「売りの仲介業者は4社います」とか「売買契約は〇〇社としてください。うちから一旦〇〇社に売りますので」とか。
せっかくのお買い得物件も、あっという間に普通の物件に早変わりです。不動産業者さんもそれで生活をしている訳ですから否定はしません。私が言いたいことは、「不動産業者さんと勝負をしようとしても勝ち目なし」ということです。不動産情報までの距離が不動産業者さんと一般消費者では違いすぎます。
ただ1つ、一般消費者でも不動産業者に勝るも劣らない勝負が出来る場合があります。「お金持ち」になることです。お金持ちになれば銀行さん、不動産業者さん、得体のしれない人などから色々な物件情報を入手できるようになります。もし不動産でガッツリ勝負をしたいという方がいらっしゃったら、まずは「お金持ち」になりましょう。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
ここまでお読みいただければ、相場よりも安い物件を購入することが如何に難しいのかがご理解いただけたと思います。
ちなみに不動産業者さんですら相場よりも安い不動産を探すために相当苦労されています。それほど相場以下の物件というものはなかなか出てこないんです。不動産市場全体が上昇傾向にあるのか下落傾向にあるのかを見極めた上で、「ここが底だな」とご自身で思われた時に相場価格で不動産を購入しましょう。
物件自体を安く買うのではなく、不動産市場全体が底をついた時に買う
今日も新たな格言が出来上がりました。
最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。