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2017.08.16   2020.07.13

あなたの理想をカタチにできるコーポラティブハウスって知ってます?

コーポラティブハウスとは何か?

「そろそろマンションを買おうかな~」と思っている方、少し待ってください。「コーポラティブハウス」という住宅をご存知でしょうか。このコーポラティブハウス、マンションと同じ集合住宅であるにも関わらず自分の要望を盛り込みながら部屋を設計できるのです。凄い時代になりました。ボーっとしているとあっという間に分からない事だらけになってしまいます。

しかし、ここで疑問が生じます。なぜ集合住宅であるにも関わらずそのような自由設計が可能なのでしょうか。そこを解き明かすことこそがコーポラティブハウスを理解する一番の近道です。なので、今回はこのコーポラティブハウスの仕組みを解明していきたいと思います。

1.コーポラティブハウスとは?

コーポラティブハウスとは、

コーポラティブハウスとは、入居希望者が集まり組合を結成し、その組合が事業主となって、土地取得から設計者や建設業者の手配まで、建設行為の全てを行う集合住宅のことである。

参照:Wikipedia「コーポラティブハウス」

上記Wikipediaには実際に日本で運営されているコーポラティブハウスの画像も掲載されています。しかし、この定義では「何が何だか分からない」という方もいらっしゃると思います。なので私なりに言い換えてみると「自分たちが事業主体となって住宅を作ろう!」ということになるかと思います。分かりやすさを最優先に考えだいぶ端折っていますのでご了承下さい。通常の分譲マンションとコーポラティブハウスの一番の違いは、

分譲マンションにおいては住宅は「買うモノ」だが、コーポラティブハウスにおいての住宅は「作るモノ」

です。コーポラティブハウスでは入居予定者が互いに協力をしながら住宅を作り上げていくのです。日本においても昔は住宅は作るモノでした。しかし、その後に訪れた高度経済成長に伴う住宅不足解消の為に平準化した住宅が大量に建設されました。住宅は買うモノになったのです。しかし、その大量に建設された住宅が空き家化し始めた現在、再度「住宅は作るモノ」であることが意識し始められたのです。

断っておきますが、分譲マンションの悪口を言っている訳ではありません。設計の段階で購入希望者の希望が反映されることは無いですが、重厚感漂うオシャレな分譲マンションは星の数ほどあります。自分で設計するよりもプロに設計をお願いしたほうがより良いものが出来ることも多々あるでしょう。私がお伝えしたいことは、住宅に関しての人々の意識の変化とそれを後押しする住宅環境の変化の波が押し寄せている、という事です。

現在では、注文住宅を筆頭に個性的な住宅が多数登場しています。注文住宅では建築基準法などの法律の範囲内で自由に設計が出来ますので、自分好みの住宅を作ることが可能です。そしてこの「注文住宅の良さを集合住宅に持ち込めないのか」という問いから生まれたのがコーポラティブハウスなのです。

コーポラティブハウスは欧米では一般的な住宅となっています。全住宅の10~20%がコーポラティブハウスである国も多数あります。日本ではまだコーポラティブハウスの分譲住宅に占める割合は1%にも満たないようです。歴史はすでに40年以上もあるみたいですが。まだまだこれからの住宅スタイルですね。

2.コーポラティブハウスのメリットは「自由設計と利便性」

今回コーポラティブハウスの記事を書くにあたって、様々なコーポラティブハウスに関するサイトを拝見しました。コーポラティブハウスの最大の魅力を探すためです。その結果私が行き着いた結論は「分譲マンションの利便性と注文住宅の自由設計を併せ持つ次世代住宅」という事です

戸建て住宅であると、どうしてもセキュリティ面でマンションに劣ってしまいます。また特に都心部では駅周辺はマンションの独壇場であり戸建てを建てる余地はあまりありません。利便性という面でもマンションの優位は変わりません。しかし、そのような分譲マンションの優位性を勘案しても、一般的であるスタンダードな間取りに疑問を感じている方も少なからずいらっしゃるでしょう。そのような方たちにとってはコーポラティブハウスは最適解なのではないでしょうか。下記にコーポラティブハウスのメリットとして挙げられていたものを列挙します。

  • 自由設計
  • コスト安
  • 良好なコミュニティ形成
  • 住宅への愛着

「自由設計」はまさにその通りだと思います。設計士もゼネコンも何もかもを自分たちで選ぶことが出来ます。ライフスタイルやライフステージに応じた質の高い住空間を創り出すことができるでしょう。

分譲マンションにおいては、不動産会社の利益やモデルハウスの費用、さらにマンションの売れ残りリスクが加味されたものが販売価格に転価されています。ここでいう「コスト安」とはそのような中間コストをカットできる、という意味であるとは思いますが、疑問が残ります。入居者全員の要望を聞き入れていたら、分譲マンションのように規格化されたものとは異なり1つ1つの仕様を変えなければいけないので逆にコスト高になる可能性も否定できません。

コーポラティブハウスは分譲マンションとは異なり小規模なものが多く、土地取得の段階からコミュニケーションを取る必要があるので「良好なコミュニティ形成」が可能である、と書かれていました。果たしてそうでしょうか。近づき過ぎると嫌な面が見えてくるということは良くある話です。メリットとして挙げる程の事であるのかどうかが私には疑問です。

戸建てでも分譲マンションでもコーポラティブハウスでも愛着は湧くでしょう。この点に関しては私はメリットとは感じません。

3.コーポラティブハウスのデメリット

それでは逆にコーポラティブハウスのデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

  • 時間と手間がかかる
  • 売却が難しくかつ価格が安くなる可能性あり
  • 参加者の誰かが途中で脱退した場合に事業自体が中断することあり
  • 組合が事業主体の為、近隣問題などがあった場合には組合が解決をしないといけない

土地の取得から設計施工、管理方法など全てを入居者全員で決める必要があります。間違いなく時間と手間がかかります。コーポラティブハウスの事業組合への参加後、引き渡しまでには2~3年掛かることも普通のようです。 鉄筋コンクリート造の低層階マンション(4階以下)の工期が約5~8か月程度であることを考えると、倍以上の時間が必要であることが分かります。

それよりも問題なのが、売却の問題です。個々人のライフスタイルやライフステージ、趣向を最大限に汲み取った住宅となっているので、別の人から見れば全くの無用の長物となってしまう可能性があります。一般の分譲マンションは癖のないスタンダードな間取&仕様だからこそ、中古でも買手が付くのです。最大の長所である自由設計は短所にもなってしまうのです。

「参加者の誰かが途中で脱退した場合、事業自体が中断されることがある」という点についても同意します。入居者全員で設計などに取り組んでいますので、その中の1人でも脱退してしまった場合には一大事です。その脱退者の住宅をどうするのか、新たに入居者を募るのか、などの問題が発生します。事業が中断することは避けられません。かといって組合結成時に脱退不可という取り決めをすることも出来ないでしょう。諦めるしかないのでしょうか

「組合が事業主体の為、近隣問題などがあった場合には組合が解決をしないといけない」という点も同意です。近隣問題の解決には金銭が必要になることが多々あります。通常の分譲マンションであれば事業主体であるデベロッパーが解決をする問題ですが、コーポラティブハウスの場合は事業主体である組合が解決をしないといけません。近隣問題は解決するのが本当に大変です。近隣説明会を開催したり、個別に説明したりと。怒声罵声が飛び交う事も日常茶飯事です。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか

コーポラティブハウスの最大のメリットは「自由設計」であり最大のデメリット「売却難」です。 しかも、この2つは表裏一体の関係にあります。この事実をどのように解釈するのかは各人により異なると思いますが、それでも「利便性を兼ね備えたこだわりの家が欲しい」という方は一度検討してみても良いかもしれません。私もお金に余裕が生まれたあかつきには、コーポラティブハウスを検討してみたいと思います。今のところその予定はありませんが。。。

最後までお読み頂きましてありがとうございました。


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