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2017.09.21   2020.07.13

上昇率No.1は〇〇の神社!2017年度の基準地価を検証してみる

荘厳な神社の道

伏見稲荷大社近辺がNo1

 

国土交通省が2017年7月1日時点の基準地価を発表しました。

全国に2万か所以上ある基準地点の中で京都市伏見区深草稲荷御前町が上昇率29.6%でトップでした。

行ったことがないので、どういう場所であるのか分かりません。

イメージとしては観光目的の外国の方向けのホテル用地などが好調なのでしょう。

 

数か月前に知り合いの会社から京都のビジネスホテルの売り物件を集めて欲しいという依頼がありましたので、集めました。3~4物件ほど集まりましたが、

 

ビックリするほど高かった

のに

ビックリするほどのスピードで売れていってしまった

ために、私の知り合いの会社は購入することが出来ませんでした。

 

京都は景観などの規制が厳しく高層の建物を建てること自体が難しいです。なのでホテルなどを建てることが可能な土地は希少価値が非常に高いです。

そのような理由も相まっての今回の上昇率であると思います。

 

ただ、ただですよ。

「基準地価の上昇率トップは〇〇です!」

「全国の商業地の平均上昇率は○○です」

と言われても「へぇー、そうなんだ」で終わってしまいませんか?

 

そもそも基準地価とは何か

公表された基準地価をどのように利用すればよいのか

 

が分からないと一時的な知識で終わってしまいますよね。

ですので今回は基準地価のキホンを説明した上で、今回の2017年7月1日時点の基準地価が何を意味するのかを考えていきたいと思います。

 

ちなみに、土地の価格は基準地価の他にも4種類あります。ざっくりと内容を知りたい方は、

 

「路線価」は「公示地価」の8割?土地の価格5種類の内容と使い道

 

をご参照ください。基本的な内容は上記記事にのせてありますので、今回の記事では省略します。

基準地価の主な目的

主な目的は

土地取引の指標

であると言われています。注意が必要なのは、あくまで指標ということです。目安です。

 

なので基準地価から自動的に取引価格が決定されることはありません。

つまり「この土地の基準地価は〇〇万円だから取引価格は△△万円です」という様な形では決まりません。

あくまで取引をする当事者同士の交渉で決まります。買主が強ければ安くなり、売主が強ければ高くなるのです。

土地に同じものは1つとしてない=価格も同じものは1つもないって事ですね。

 

ちなみに私は土地の取引において基準地価を参照したことはほとんどありません。

ほとんどの場合に「周辺の土地の価格がいくらで取引されているのか」を主な指標としていました。

 

基準地価の事を書いておきながら「あまり利用していない」という文章を書くとは思いませんでしたが、ウソをついても良い事はありません。不動産業に携わる人にとって基準地価を知らなくてもそれほどデメリットはないでしょう。

 

しかし、メリットはあります。基準地価を知っておくことで

 

全国的な基準地価の動向、及び主要都市での基準地価の動向

 

を把握することができます。

つまりその時点での日本における不動産市場全体の流れを掴むことができるのです。

 

極端な例をげると、ある地域の基準地価が、

上昇から下落に転じた⇒売り時

下落から上昇に転じた⇒買い時

と私は考えていました。あくまでも私の考え方なので参考になるかどうかは分かりませんが。

2017年7月1日現在の基準地価を考えてみる

それでは具体的に基準地価がどうなっているのかを見ていきましょう。

まずは全国の商業地と住宅地の基準地価

全国の商業地 前年比0.5%増(2016年 前年比0.005%増)

全国の住宅地 前年比0.6%減(2016年 前年比0.8%減)

 

後にも先にもまずはこれです。

商業地は上昇率が増加しています。

また、2017年度の基準地価の上昇率トップが京都の伏見稲荷周辺であることを考えると、外国人の方向けのホテル用地や店舗用地が増加をけん引しているのでしょう。

 

東京オリンピックまではホテルや店舗の需要が継続すると思いますが、その後は怖いですね。

 

商業地の基準地価が〇〇年ぶりに前年比△△%減

 

数年後の9月20日前後の新聞の見出しが上記の言葉にならないよう祈っています。

 

新聞紙の見出し

 

次に住宅地の基準地価。

こちらは住宅の実需を表しています。下落率が縮小していますので、徐々に住宅用土地の需要が回復しているのではないか、という考え方が出来ます。

ちなみに日本では20年以上連続でマイナスを記録しています。

 

しかし、

全国の住宅地の基準地価は減少している

と言われても納得できますか。

私のもとに送られてくる不動産売買物件の資料の価格を見ると、

 

高値の上限を2回くらい突き破っている価格

 

の物件が多数あります。特に福岡県の物件が高いイメージです。

 

なので次はもう少し範囲の狭い地域の基準地価を見ていきます。

次に3大都市圏(東京圏・大阪圏・名古屋圏)&地方中枢都市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)

3大都市圏の商業地 前年比3.5%増(2016年 前年比2.9%増)

3大都市圏の住宅地 前年比0.4%増(2016年 前年比0.4%増)

 

地方中枢都市の商業地 前年比7.9%増(2016年 前年比6.7%増)

地方中枢都市の住宅地 前年比2.8%増(2016年 前年比2.5%増)

 

私、少々知ったかぶりをしていたみたいです。

3大都市圏が商業地及び住宅地の基準地価の上昇率をけん引していると思っていましたが、地方中枢都市が引っ張っていってくれているようです。確かに福岡はいま激アツですからね。

 

3大都市圏の地価がすでに高止まりしているのでなかなか買えないのでしょう。その次の都市である札幌・仙台・広島・福岡に不動産マネーが動いているのがよくわかります。

 

思い込みは怖いです。

信じれるのは自分の知識ではなくデータですね。以後気を付けます。

最後はその他の地域

その他の商業地 前年比1.1%減(2016年 前年比1.5%減)

その他の住宅地 前年比1.1%減(2016年 前年比1.4%減)

 

完全な2極化が起きています。そして良い地域と悪い地域の差がひらいています。

地方中枢都市の土地が高止まりし始めているので、その不動産マネーがその他の地域に動くのであれば将来に対する期待が持てます。

 

熊本はその次の都市であると思います。確かに少しづつ熊本県外からの不動産マネーが入ってきているようです。1棟売りの賃貸マンションの利回りも想像以上に低いです。この状況が継続してくれればよいのですが。

 

 

ちなみに商業地・住宅地ともに下落率のトップは人口減少に苦しんでいる秋田県で、

商業地の基準地価 前年比3.1%減(2016年 前年比3.8%減)

住宅地の基準地価 前年比2.9%減(2016年 前年比3.4%減)

でした。去年も両方ともトップのようです。対策をしようとしても打つべき手段が見つからないのではないでしょうか。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

先ほども述べましたが、基準地価は個別の取引の価格を決定する際にはあまり使用しません(私に限った事かもしれませんが)。

しかし、日本全体の不動産市場の状況を把握するにはこれ以上ないデータです。これほど貴重なデータがタダで利用できる環境に感謝しましょう。

 

その他の地域に不動産マネーが流れていくことを切に願っています。

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