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2017.10.05   2020.07.13

借地権の更新で知っておくべきこと

更新料の徴収

平成4年8月に改正借地借家法が施行されました。

この改正借地借家法において借地権に革命がおきました。

その革命の当事者こそが「定期借地権」さんです。

 

何が革命かと言えば、

 

旧法借地権&普通借地権⇒更新〇

定期借地権⇒更新×

 

これです。これに尽きます。これが一番重要です。

詳細に関しては今から書いていきますのでご安心ください。

ちなみにこの記事では、改正前の借地権を旧法借地権、改正後の借地権を普通借地権と呼びますのでご了承下さい。

 

 

借地権に関しては、当サイトの別の記事にも記載しています。

 

歴史を紐解くと借地権は簡単に理解できます!

目次

1.更新の有無は地主の利益に多大な影響を与えます

平成4年8月に施行された改正借地借家法の一番大きな目的は、

 

地主の利益の死守

 

です。

それまでの借地借家法では地主さんの間でこのような都市伝説が噂されていました。

 

「1度土地を貸してしまったら、2度と戻ってこない」

 

そしてこの都市伝説は、85%は正しいでしょう。85%という数字は私の直感なので絶対にあてにしないでください。

何が言いたいかというと「借地権を設定してしまうと、返してもらうのが非常にこんなに」であるということです。

 

この話には借地権の更新という制度が大きく影響しています。

次は更新について考えていきます。

2.借地権の更新とは

それぞれの借地権の借地期間に関しては、最後に補足として載せておきます。借地期間に関しては特に覚える必要はありません。必要な時に参照する程度で構いません。

 

今回はその借地期間終了後の更新について焦点をあてます。

 

借地権の更新の原則及び例外

 

上の図を見て頂くと、借地期間満了に伴い借地契約は終了することが原則となっています。

借地契約が更新されるのはあくまで例外なのです。

 

法律の条文もその通りなんですが、旧法借地権と普通借地権に関しては、

 

原則と例外が逆転してしまっている

 

のです。これも上記に記載していますが、更新拒絶の為に必要な「正当事由」が認められる可能性が非常に低いのです。

 

少し考えてみれば分かります。借地権者は借地上に建物を所有しています。

もし正当事由が簡単に認められてしまっては、建物買取請求権を利用して地主に建物を買い取ってもらうか、若しくは建物を壊して地主に返還するしかありません。

借地上で生活の基盤が出来上がっている場合には、著しい不利益を被ってしまいます。

 

裁判所としても入念に、そして厳格に正当事由の有無を判断しなければいけないのです。

 

 

ちなみに地主の異議なく借地上の建物を建て替えた場合

「建物が再築された日」「地主の承諾があった日」のいずれか早い日から借地契約が更新されます(20年間)。

こちらは借地契約期間満了の更新ではありませんが、念のため。

3.借地権の更新料とは

借地権を更新する際に更新料を要求されることがあります。借地契約更新の対価の性質を持っていますが、

 

更新料に法律上の根拠はありません

 

借地契約の更新料の支払いは遠い昔から慣習として行われてきました。

ただ、慣習ほど曖昧なものは無い、と私は思っていますが。。。

実際に借地権の更新料を認めない裁判例もあります。

 

借地契約の更新料の支払いは慣習であり、また当事者同士の合意に基づくものです。

当事者同士が合意をした上で借地契約に記載している場合が多いでしょう。

契約書に記載されているということは、更新料の支払いは義務となります。

更新料の金額が世間一般の常識からかけ離れていない限り更新料は有効です。

 

ちなみに更新料の相場は諸説ありますが、

 

更地価格×5%前後

 

が目安になるのではないでしょうか。様々な文献を調べてみても

更地価格×3%~10%

の範囲に収まっています。

4.借地権を更新した場合、契約書は締結し直す必要があるのか

必須ではありません。

 

例えば、借地期間満了後も借地権者が継続して借地を利用している場合には自動的に借地契約が更新されます。

この場合、借地契約を締結し直すようなことはしません。そもそも忘れている可能性があります。

 

ただ、合意による更新の場合には更新契約書という形で契約書を交わしてもよいかもしれません。

そのほうが、今後の権利関係が明確になり以後のトラブル防止につながるでしょう。

 

しかし、1つだけ注意事項があります。

あくまで、従前の契約の更新である旨をしっかりと記載してください。

このようにしておかないと、新規の契約とみなされてしまうかもしれません。

従前の契約が旧法借地権であるにも関わらず手違いで定期借地権などを締結してしまったら、とんでもないことになります。

この点に関しては本当に気を付けてください。

5.補足:借地期間

借地権の借地期間と更新後の期間

念のため、最後に借地期間と更新後の期間の図を載せておきます。

この図を覚えて頂いても数日後には忘れてしまうと思います。

6.まとめ

いかがでしたでしょうか。

借地権の更新の基本的な考え方は

原則:契約終了

例外:契約更新

のはずなのに、例外が強すぎてほとんどの場合「更新するしかない」事態に陥ってしまいます。

 

借地権が誕生した歴史を鑑みれば致し方ないのですが、余りにも強大な権利になってしまったので借地借家法が改正され、地主に配慮した更新のない定期借地権が創設されました。

 

このような流れを念頭に入れておくと、借地権の理解がより深まるはずです。

 

みなさんの借地権ライフの一助になれることを願っています。


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