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2017.11.10   2020.07.12

賃貸の更新料は近い将来確実に無くなります!

更新料の徴収

更新料は法律に基づいたものではありません。宅地建物取引業法には更新料についての条文は一切ありません。では、なぜ更新料を支払わなければいけないのか。それは賃貸借契約書の存在です。賃貸借契約書に「契約更新の際は更新料〇〇円が必要」と記載されたいたら、更新料を支払う義務が生じます。

 

 

「更新料は当たり前の費用」と勘違いして賃貸借契約書にハンコを押してしまう方がほとんどでしょう。違うのです。更新料は当たり前の費用じゃありません。当事者の合意があって初めて発生する費用なのです。その当事者の合意こそが、賃貸借契約書の締結です。

 

 

ではこの「法律的根拠はないが当事者の合意に基づいて発生する更新料」、アナタは払いたいですか。払いたくないですか。もちろん払わなくていいものは払いたくないでしょう。でももう安心です。更新料という制度は将来確実に無くなります。

目次

1.そもそも更新料の徴収は少数派

少し古い調査結果になりますが、国土交通省が行った「更新料の徴収割合及びその額」(平成19年6月)を見てみると、

 

  割合(%) 平均(月)   割合(%) 平均(月)
北海道  28.5 0.1 愛知 40.6 0.5
宮城  0.2  0.5 京都 55.1 1.4
東京 65.0  1.0 大阪 0
神奈川  90.1  0.8 兵庫 0
埼玉  61.6  0.5 広島 19.1 0.2
千葉  82.9  1.0 愛媛 13.2 0.5
長野  34.3  0.5 福岡 23.3 0.5
富山  17.8  0.5 沖縄 40.4 0.5

出典元:国土交通省「平成26年度住宅市場動向調査について」

 

関東及びなぜか京都の徴収率が高いですが、その他の地域は徴収率50%以下です。大阪及び兵庫に限ってはまさかの0%。「更新料なんか払うかいっ!」という感じなのかどうかはさておき、私もこの調査結果をみるまではここまで地域差があるとは思いもしませんでした。

 

 

私は生まれも育ちも東京であり、東京で不動産業に携わっていたので更新料は一般的なものであるという認識でした。しかもその東京でも、更新料の徴収は65%にとどまるのです。残りの35%は既に更新料不要の物件と言う事実には驚きました。

 

 

多数の大手賃貸物件サイトにおいて「更新料不要」の物件が増加している状況を鑑みると、「更新料不要」の方向に時代が流れているのは明白です。

2.更新料を徴収するよりも空室を埋めた方が断然お得

空室

 

例えば、長い間空室であった部屋に入居希望者が現れた場合に「更新料が発生するのであれば入居しません」と言われたらどうしますか。その部屋が月額家賃10万円の場合、

 

入居してもらう⇒家賃収入10万円ゲット

入居を断る⇒家賃収入0。それどころか賃貸募集費用が発生するのでマイナス

 

どちらを選ぶかはあなた次第です。ではなくて、入居してもらう以外に選択肢はないでしょう。

 

 

また、既に入居中の賃借人に対しても同じことが言えます。「更新料が必要なら退去します」と言われたらどうしますか。退去されたら、原状回復費やクリーニング費、新たな賃借人を探すための賃貸募集費用が発生します。収入を取るか支出を取るか、簡単な問いです。

 

 

全ては、賃貸物件市場が「貸し手市場から借り手市場」に変化したことが原因です。今や東京23区の空室率が30%を超える時代です。もちろん築年数によって空室率の増減はあるかと思いますが、今は新築でもいずれは築10年、20年になるのです。交渉に有利な材料を持っているのは間違いなく「賃借人」です。

3.理由のない費用は消えていく運命にある

運命

 

 

先の国土交通省の調査には「更新料を徴収する主な理由」というものも調査結果として挙がっています。その理由の1位と2位を下記に紹介します。

 

1位:一時金収入として見込んでいる(53%)

2位:長年の慣習(50.4%)

参照元:国土交通省「民間賃貸住宅に係る実態調査」

 

この理由どう思いますか。1位を言い換えると「ちょっと臨時ボーナスが欲しいから更新料ちょうだい」、2位を言い換えると「昔からそうだから更新料ちょうだい」という事になるかと思います。嘘でもいいから「築20年を経過し想定以上の修繕が発生した場合には入居者様の快適で安全な生活を守るために更新料を徴収し修繕に充てさせて頂きます」などと言って欲しかったです。。。

 

 

以前は当然のように支払っていた「礼金」。今では風前の灯です。なぜなら支払う理由がないからです。

 

 

礼金も更新料と同じく昔からの慣習です。古くは親の元を離れ下宿する息子を「宜しくお願いします」という意味、また戦後の住宅不足の時に「部屋を貸していただいてありがとうございます」という趣旨から支払われていたそうです。

 

 

住宅飽和状態の今、礼金を支払う理由はありません。礼金と同じく上記のような明らかに賃貸人側の都合による費用なんて、そう遠くない将来に自然と消えていく運命にあります。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。

日本の賃貸住宅市場は、

 

貸し手市場⇒借り手市場

 

に変化しました。その変化とともに更新料という制度は不要なものに変化しつつあります。日本の人口が減少していく以上、この流れは止めることはできません。より入居者にメリットのある物件のみが生き残っていくことになるでしょう。

 

 

最後までお読みいただきましてありがとうございました。


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