地方でなおかつ中心部から少し離れている不動産業者さんと取引をする時は結構神経を使います。時間に対する考え方がゆったりとされている方もいらっしゃるので。
以前、ビジネスホテル用地として地方の土地を購入したことがありました。
観光地として有名な駅の目の前にある土地で、価格もこちらの希望価格通り(のはずでした)。
個人の方が所有されていましたので、地元の仲介業者さんが間に入ってくれました。
当初は別の担当者が居ましたが、「ビジネスホテルと言えば私」という事で引き継ぐことになりました。
早速、東京から新幹線に乗り片道4時間かけて仲介業者さんにご挨拶に伺いました。
その仲介業者さん、明らかに喪黒福ぞ………いや七福神の大黒様のような感じでした。
「お金余ってます!」オーラがビンビン伝わってきました。この地域の不動産を取り仕切ってるんだろうな、と感じさせる何かがありました。
話してみたら案外普通だったので、ガッカリしたのを覚えています。
挨拶もほどほどに済ませ、本題である物件の話になりました。
仲介業者さん「この度は買付証明書の頂きましてありがとうございます。ぜひ2.1億円(仮の価格です)で検討してください。」
(※「買付証明書」とは当該物件の購入を前向きに検討します、ということを相手に伝えるための書面)
私「あれ2億円じゃなかったでしたっけ?」
仲介業者さん「いやいや、2.1億円ですよ!」
これ、ホント良くあります。気付いたら物件価格が1,000万円上がっちゃってるんですよ。恐らく担当者が変更したことを「チャンス到来!」と思って価格を上げてきたのでしょう。しかも驚くほどサラッと流すように。
これがスルーパスってやつですわ。このままの流れだと来週には2,2億円突破です。プレスをかけて相手からボールを取り返さないといけません。
私「2億円でしたら来週にでも契約を結びたいと思っていたのですが………」
仲介業者「2億円で契約しましょう!」
えぇぇぇぇー、早っ!!!
もうちょっと押し問答があることを想定していたのに。ただフッかけてきただけじゃん…
しかも売主さんに確認していないところを見ると、仲介業者が更なる上澄みを求めて私にチャレンジしてきたようです。
いやー強敵っすね。
仲介業者さんのオモシロトークがありましたが、何とか価格の折り合いが付きましたので早速契約の準備に取り掛かりました。早くしないとまた意味不明な事を言い出すかもしれませんし。
その後も境界が確定していないやら仲介手数料やらで色々と揉めましたが、何とか決済当日を迎えることが出来ました。
決済はその物件の所在する金融機関の1室を借りて行う事が一般的です。また通常は午前中に行います。午前中であればトラブルがあっても対応できますので。
しかし、今回はなぜか14時からでした。
決済自体は着金確認に時間がかかることがありますが、10分程度あれば終わります。
私は13:45には着いていましたが、14時になっても売主&仲介業者が来ません。
予定通りの展開です。
売主さんも結構な地主さんのようですし、仲介業者も福沢諭吉に愛されているようでしたので「お金には無頓着なのかな?」と思っていた矢先に、
「お待たせしました!危うくお金を頂けなくなるところでした!」
期待を裏切らない感じでの登場です。
と同時に私の携帯電話がなりました。経理部長からです。
部長「何してんだ!早くしないと銀行がしまって振り込みが出来なくなるぞ!」
私「部長。ここだけの話ですが、いま先方が到着されました。」
部長「なんでもいいからさっさと手続きをしろ!」
私「鋭意努力します!しばしお待ちを。」
決済のギリギリ感、たまったものじゃないですね。しかも先方と私では時間の流れが明らかに違う。
「電池が切れてるのか?」と思う程ゆったりまったりのんびり。アルカリ電池を買いに行こうかと思ったぐらいです。
「蛍のひかり」か何か忘れましたが、優しい音楽が聞こえ始めた時に無事決済は終了しました。
遂に私の電池が切れました…
あまりにも疲れ切っていたので関係者のみなさんに挨拶をし早々に帰路に着こうとしたところ、仲介業者さんが私のところへやってきました。
仲介業者「このような大きな物件の仲介は初めてでした。不慣れなところも多々あったかと思いますが、良い取引が出来て光栄です。またお仕事を一緒にさせてください。」
私「こちらこそ宜しくお願いします。」
なーんだ、良い人だったんじゃん。終わりよければすべて良し!さぁ帰ろっ!!!