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2018.05.22   2020.07.12

強制退去は都市伝説ではないのか?

強制退去は都市伝説?

ある日突然自宅のポストに「強制退去」の通知が…

テレビの2時間ドラマなどでよく見るシーンです。いや、いうほど見ないかもしれません。よくよく考えたら、そのようなシーンを見た記憶がありません。私のただの思い違いでした。。。

何はともあれ、現実の生活においてそのようなシチュエーションに遭遇することはほとんどないでしょう。私は東京や名古屋の賃貸マンションの運用を行ったことがありますが、強制退去まで発展するような事案には遭遇したことがありません。実生活においても業務上においても強制退去を経験したことのない私は「強制退去は都市伝説なのでは?」と思ったことがあります。”ただの脅しのようなもの”と思っている方も少なくないのではないでしょうか。ですが、

残念ながら、強制退去は実在します。

突然、大勢の大人たちが自宅にやって来て、荷物を全部トラックに積んで運び去ってしまうのです。実際には突然ではなく、あらかじめ通知があるようですが。大勢の大人たちが家に上がって来るだけでも、相当コワいです…。自分に非があるとはいえ、被害者のような気持ちになるのでしょうか。経験をしたことが無いので分かりませんが。では、どのような場合に強制退去が行われるのでしょうか

ズバリ、家賃の滞納です。”騒音””悪臭”などの理由も強制退去の原因になり得ますが、ダントツで多いのが家賃の滞納です。「部屋を貸しているのに家賃が入ってこない」こと程、大家さんにとって最悪な事はありません。「貸すに貸せない」状況なので、空室よりもタチが悪いです。

1か月でも家賃を滞納したら強制退去になるのでしょうか?

このようなギモンが湧いてきますが、果たしてどうでしょうか。安心してください。振り込みを忘れてたまたま家賃を1か月滞納してしまったとしても、それだけで強制退去になることはありません。家賃の滞納はあってはいけない事ですが、決してないと言い切れるものでもありません。また、家賃1か月の滞納による強制退去は大家さんにとっても入居者にとっても割りに合わないのです。

割に合わない」とはどういうことなのでしょうか。カンタンに説明します。1か月の家賃滞納の理由が”たまたま”の事もあるでしょう。”他の支払いが立て込んだ”という事もあるでしょう。”海外に行っていた”なんてことも。このような場合に強制退去により追い出されてしまったら、新たな住居を借りるために高額な費用が掛かります。大家さんに謝罪をした上で家賃の1か月分を支払った方が確実に合理的なのです。引っ越すよりも安あがりです。

では、大家さんからみたらどうでしょうか。強制退去を行うには、経なければいけない手続きが多々あります。カンタンに言えば、「内容証明郵便による支払い催告及び賃貸借契約解除の通知」「建物明け渡し請求訴訟の提起」「建物明け渡しの強制執行(強制退去)」などになるのですが、けっこう費用が掛かります。ワンルームの場合でも合計で20万円以上はかかるようです。相手に非があるのに退去の際にお金が掛かるなんて、非合理極まりないです。

このように家賃1か月程度の滞納による強制退去は大家・入居者双方にメリットがありません。断っておきますが、決して家賃の滞納を勧めている訳ではありません。もし、うっかり家賃の振り込みを忘れてしまったのであれば「すぐに謝罪した上で振り込みをしましょう」という事を言っているのです。

ちなみに、家賃滞納による強制退去を受ける場合にはおおよその判断基準があります。

  • 家賃の滞納が3か月間続く
  • 催告したにも関わらず家賃支払いの意思がない
  • 大家さんと入居者の間で信頼関係が破たんしている

この3つの要件を満たす場合には強制退去となりやすいです。「家賃支払いの意思が無い」時点で強制退去させてもよいのではないか、と個人的には思いますが。また、家賃の滞納が3ヵ月も続いたのであれば、そもそも信頼関係は破たんしていると思いますけど…特別な事情があり家賃の滞納が続いてしまった場合を除くために「信頼関係の破たん」という要件を求めているのかもしれません。住居は生活の基盤となるものです。裁判所の”念には念を入れて審議を行う”という意思の表れでしょう。

強制退去は最終手段です。家賃滞納問題の解決方法として最も望ましいものは「話し合い」による解決です。うっかり忘れてしまったのかもしれません。特別な事情があったのかもしれません。いずれにしても話し合えば分かることです。話し合いの場を持たないからこそ、支払いの意思が無いと認定されてしまうのです

自宅のポストに裁判所からの強制退去の通知が届いている場合、よほど悪質な入居者であると裁判所に認められてしまったことになります。もう逃げ道は無いと考えてください。自らの非を悔いて、新たな住居で一から出直すことをおススメします。

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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